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キルケゴール

精神的な意味において、人間は年と共に無造作に何者かになるものではない。

出典・参考・引用

世界文学大系「キルケゴール」p325

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キルケゴール

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死にいたる病

信仰や智恵というものが、たとえば歯や髭などが年をとるにつれて実際ひとりでに生えてくるようなふうに、なんの造作もなく至りつけるものだと考えるとしたら、なにはともかく、それは愚かなことであり、それこそ、精神が何であるかを、解しないものであり、さらに、人間が精神であって単なる動物でないことを見誤るものである。
まったく、たとえ人間がそのようにひとりでに何に至りつけるにしても、また何がそのように無造作にできてくるにしても、信仰と智恵というこの一事だけは、断じてひとりでにできてくるものではないのだ。
むしろ、精神的な意味では、人間は年と共に無造作に何者かになるものではない、というのが事実なのであって、この範疇こそ精神にもっともきびしく対立するものなのである。