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ニーチェ

正義ではない、まして慈悲ではない。
ただひとり生である。
あの暗い威力、ひとを駆りたて、飽くことなく自分自身を欲求するあの力である。

出典・参考・引用
世界文学大系42「ニーチェ」(生に対する歴史の利害について - 第二反時代的考察)p322
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ニーチェ

ここではっきりすることは、過去を推察するのに、記念碑的ならびに骨董的行き方とならんで、しばしば第三の仕方、批判的行き方がいかに必要なものであるか、しかもふたたび生の奉仕において必要であるかということだ。
生きうるためには、人間は過去を破壊し解体するだけの力を持たなければならないし、時にこの力をふるわねばならない。
過去を法廷にひき出し、きびしく審問し、ついには断罪することによって、人間はこのことを達成する。
しかしすべての過去は断罪されるに値する、なぜなら、人間の事柄に関する限り、常にその中に人間的暴力と弱点が威勢をふるっていたことは、動かぬ事実なのだから。
ここで裁判するのは正義ではない、ここで判決をくだすのは、まして慈悲ではない。
ただひとり生である、あの暗い威力、ひとを駆りたて、飽くことなく自分自身を欲求するあの力である。
生のくだす宣告は常に無慈悲であり、常に不公正である。
なぜなら、それはけっして認識の純なる泉から流れでているのではないから。

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