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ニーチェ

ああ、なんじら人間よ、石の中に一つの像が眠っている。
像の中の像ともいうべきものが!
ああ、かかるものがいとも硬く、醜い石の中に眠らねばならぬとは!

出典・参考・引用
世界文学大系42「ニーチェ」(この人を見よ-いかにしてひとは自己自身となるか)p400
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この人を見よ

わが激しい創造の意志、それはつねに新たに私を人間へと駆りたてる。
石にむかって鉄槌が駆りたてられるごとくに。
ああ、なんじら人間よ、石の中に一つの像が眠っている。
像の中の像ともいうべきものが!
ああ、かかるものがいとも硬く、醜い石の中に眠らねばならぬとは!
いまや、わが鉄槌は、この像の牢獄を残酷に乱打する。
石は砕けて破片が飛ぶ。
何のわが意に介するところであろうぞ!
(中略)
一つの最後の観点を私は強調しておこう。
傍点を付した句は、その示唆を与えている。
ディオニュソス的使命にとっては、鉄槌の硬さ、破壊にさえよろこびをおぼえることが、決定的に前提条件に属している。
「硬くなれ!」という命令、あらゆる創造者は硬いという至深の確信は、ディオニュソス的天性の本来の徴候である。

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