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ヒルティ
教師の職業に最も重要なことは、活気の充満した個人の本性が発達せし人格である。
この人格があってこそ、未熟の人に感化を及ぼし、これを一様にそのような人格へと育て上げるものなのである。
出来るだけ多く真実の人格を養成すること、それが本当に教職の精髄ではあるまいか。
- 出典・参考・引用
- カ-ル・ヒルティ著、平田元吉訳「幸福」25/190
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幸福
然しながら広く教師なる職業に於いては、最下級より最高級に至るまで、活気の充満した個人性の発達した人格が最も重要のことのように思われる。
此の人格こそは他の未熟の人に感化を及ぼし、之を一様にかような人格に育て上げるものである。
確固たる人格の大欠乏、是れ吾人が時代の特徴であって、益々之が増加しつつあるのである。
多く自覚したるもの、多く形式的の教育を受けたるもの、それだけ恐らくは生活や職業に対して多く能力を備えたる者、是れ今日は旧時に優って居よう。
然しながら今日は同時に各個人に於いて独創的なるものが欠如して居る、而して此の欠乏が次第次第に全体に及んで居る。
此の独創的ということは、我国民と他国民とを截然区別するところのものであり、又た私の考えにては国民的発展の重要なる条件であった。
十九世紀の初めの我が国の政治的財政的論文、或いは政治的檄文を以て、之を今日の週期刊行物の論文に比すれば、形式内容共に前者が卓越せるを認めなければならぬ。
当時我が国民は学校にて教育された者は極めて少なかったけれども、実生活から多く学び而して今日よりは遥かに独創的であり、又た色々な点に於いて、一層考察的であった。
かような例は決して孤立独在しているのではない。
当時の報告や提議等の集まった他の浩瀚なる二折の大冊にても、初葉から末葉まで愉快に読むことが出来る。
其の中には才気と見識とが閃き、人をして感憤激励せしめざるものはない。
今日のものが、百年後には同様であるかは未定として置くが、如上の如きは顕著なる個人性の魔力であって、世間は厭いながらも常に之を認識するものである。
出来るだけ多く真実の人格を養成することが、本当に教職の精髄ではあるまいかと思う。
然し是は如何にして出来るか。
学校の教育だけでは慥かに出来ない。
若し之が出来るとしたら、今日は斯様な人格が何時より世間に多く無ければならぬ。
然るに事実は是に反して、文明国に於いては比較的之が少ないのである。
其の他は只だ多数が勢力ある平凡な群衆徒党に過ぎない。
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