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近衛文麿
僕の志は知る人ぞ知る。
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遺書
近衛文麿は三度も首相となった明治から昭和にかけて活躍した政治家。
太平洋戦争の敗戦から戦犯容疑者の指名をうけ、出頭当日の未明に青酸カリによる服毒自殺を遂げる。
その際の遺書にある言葉。
全文は以下の内容である。
僕は支那事変以来多くの政治上過誤を犯した。
之に対して深く責任を感じて居るが、いわゆる戦争犯罪人として米国の法廷に於て裁判を受ける事は堪え難い事である。
殊に僕は支那事変に責任を感ずればこそ、此事変解決を最大の使命とした。
そして、此解決の唯一の途は米国との諒解にありとの結論に達し、日米交渉に全力を尽くしたのである。
その米国から今犯罪人として指名を受ける事は、誠に残念に思う。
しかし、僕の志は知る人ぞ知る。
僕は米国に於てさえそこに多少の知己が在することを確信する。
戦争に伴う興奮と激情と勝てる者の行き過ぎた増長と敗れた者の過度の卑屈と故意の中傷と誤解に基ずく流言飛語と是等興論なるものも、いつか冷静さを取り戻し、正常に復する時も来よう。
是時始めて神の法廷に於て正義の判決が下されよう。
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