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先頭が「て」の四字熟語の意味と読み方

恬淡虚無(てんたんきょむ)

私心なく物事にこだわらずあっさりしていること。
道家思想の根底をなす。
恬淡は物に執着せず心安らかであること。
虚はつきぬけて空っぽであるの意。
無も同様の意を持つ。
東洋思想における虚と無は、空っぽの状態ではなく超越した状態と捉えられることが多い。
類義語に「無欲恬淡」「無欲淡泊」「虚静恬淡」など。
出典は黄帝内経の上古天眞論篇。

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出典
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黄帝内経

夫れ上古聖人の下を教ふるや、皆な之を謂うに虚邪きょじゃ賊風、之を避くるに時有り。
恬淡虚無なれば、真気之に従い、精神内に守り、病いづくんぞ従い来たらん。
是れを以て志閑なれば欲少なく、心安んじておそれず、形を労して倦まず、気に従ふを以て順となし、おのおの其の欲するに従ひて、皆な願う所を得。
故に其の食は美にして、其の服を任じ、其の俗に楽しみ、高下を相慕はず、其の民を故にぼくと曰ふ。
是れを以て嗜欲も其の目を労する能はず、淫邪も其の心を惑はす能はず、愚智賢不肖ぐちけんふしょうも物に於いて懼さず、故に道に於いて合し、所以ゆえに能く年皆な百歳を度して、而して動作衰えざる者にて、以て其の徳を全くして危からざるなり。

遥か太古の聖人が下々を教化するに、虚邪の人を害するを避けるには時機というものがあると云う。
恬淡虚無であれば自ずから気が満ち溢れ精神は発揚として病が入り込む余地などはなくなってしまうのである。
澹泊にして志を明らかにすれば欲を発することなく、心は安んじて妄りに動くこともなく、形変に心配して憂うこともなく、気の巡行のままに従うことを旨とすれば、それぞれの欲するところに従っても弊害などはなく、その結果、皆がその願う所を得ることができる。
だから、その食は美であり、衣服はあるがままで捉われず、世の流れのままを楽しんで、身分や声名の高下を羨ましがることもなく、人々は素朴で自然な姿となる。
嗜欲が人々の目を労することはないし、淫邪が人々の心を惑わすこともない。
誰もが何かに捉われるということなく、それぞれの道を歩んでしかもそれが一なのである。
だから皆百歳を越えても動作衰えることなく、己に本来備わる徳を明らかにして遊離することなく人生を全うするのである。

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語句解説

虚邪(きょじゃ)
精気のたよりない所が外界のひずみをうけて病気を起こすこと。なお、「きょじゃ」と読む場合は「虚徐」に通じ「こっそり、ひっそりと」「ゆったりとおとなしく優雅なさま」の意になる。
賊風(ぞくふう)
季節によって風の向きに正虚があり、冬至であれば北風が正風。季節外れの風は賊風と呼び、身体の虚に乗じて入ってくるとされた。

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