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先頭が「は」の四字熟語の意味と読み方

八元八愷(はちげんはちがい)

「元愷(げんがい)」ともいう。
非常に能力の優れた人物と温和で人とよく協調してゆくことのできる人物のこと。
賢才・賢子のことを指す。
元は善と解されるが、更に元気の元の如く「もと」であり「始め」であり「全体」でもある三つの意を含む。
また、愷は余裕と調和をしめす。
出典は春秋左氏伝の文公十八年。
太古の高陽氏こうようしの八人の才子と、高辛氏こうしんしの八人の才子を指した言葉。

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四字熟語
出典
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春秋左氏伝

昔、高陽氏こうようしに才子八人有り、蒼舒そうじょ隤敳たいがい檮戭とうえん大臨だいりん尨降ぼうこう庭堅ていけん仲容ちゅうよう叔達しゅくたつ斉聖廣淵せいせいこうえん明允篤誠めいいんとくせいにして、天下の民は之を八愷はちがいと謂ふ。
高辛氏こうしんしに才子八人有り、伯奮はくふん仲堪ちゅうかん叔獻しゅくけん季仲きちゅう伯虎はくこ仲熊ちゅうゆう叔豹しゅくひょう季狸きり忠肅共懿ちゅうしゅくきょうい宣慈惠和せんじけいわにして、天下の民は之を八元はちげんと謂ふ。
此の十六族や、世に其の美をし、其の名をおとさず、以てぎょうに至れり。
堯、挙ぐる能はず、の堯に臣となり、八愷を挙げ、后土こうどつかさどりて以て百事をはからしむれば、時に序さざる莫く、地平らかに天たいらかなり。
八元を挙げて、五教を四方に布からしむれば、父は義に、母は慈に、兄は友に、弟は共に、子は孝にして、内平らかに外たいらかなり。

昔、高陽氏の才子と言われた八人の子は、中正にして良く中道に適い、物事に広くゆきわたって才智は奥深く、聡明にして信に固く、行いは厚くて誠実であったから、天下の人々は之を八愷と呼んだ。
また、高辛氏の才子と言われた八人の子は、忠孝にして敬しみ、恭謙にして意に適い、慈愛は遍くゆきわたり、仁にして柔和であったから、天下の人々は之を八元と呼んだ。
この十六族は代々に美徳を成してその名声を失うことなく、ついに堯の時代へと至った。
堯は彼等を用いようとするも果たせなかったが、舜が堯の宰相となって政務を代行するようになると、遂に彼等を登用することができた。
舜が八愷に大地を司らせて諸政策を行わせると、時宜に適って諸所を統べたので、天下はよく治まった。
また、八元に五教を順布させると、民は各々の分をわきまえて尽すようになり、天下は普く和したという。

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語句解説

顓頊(せんぎょく)
顓頊。五帝の一人。伝説上の人物で高陽に都したので高陽氏と称したとされる。黄帝の孫でその跡を継いで帝位に就いた。
嚳(こく)
嚳。五帝の一人。伝説上の人物で高辛に都したので高辛氏と称したとされる。黄帝の曾孫で顓頊の跡を継いで帝位に就いた。
斉聖廣淵(せいせいこうえん)
斉は中正、聖は通暁、廣は広で広くゆきわたる、淵は深遠。
明允篤誠(めいいんとくせい)
明は聡明、允は信実、篤は深切、誠は誠実。
忠肅共懿(ちゅうしゅくきょうい)
忠は忠孝、肅は敬しむ、共、恭に通じ、懿は美、善で神意にかなう意をもつ。
宣慈恵和(せんじけいわ)
宣はあまねくゆきわたる、慈は慈愛、恵は仁恵、和は柔和。
堯(ぎょう)
堯。尭。古代の伝説的な王。徳によって世を治め、人々はその恩恵を知らぬまに享受したという。舜と共に聖王の代表。
舜(しゅん)
舜。虞舜。伝説上の聖王。その孝敬より推挙され、やがて尭に帝位を禅譲されて世を治めた。後に帝位を禹に禅譲。
后土(こうど)
地の神のこと。

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