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先頭が「え」の四字熟語の意味と読み方

煙霞痼疾(えんかこしつ)

自然の風景を愛し、旅を好む習性。
煙霞のへきともいう。
煙霞は煙やかすみがかかったようなかすんだ風景のこと。
痼疾はいつまでも治らない病気、持病の意。
出典は旧唐書の田遊巌伝(隠逸)。
山隠していた田遊巌を招聘するために唐の高宗が訪れ、「近頃はどうですか」と尋ねたところ、「自然に親しみ楽しんでおります。陛下の聖治によって、悠々と暮らせています」と答えた。

出典・参考・引用
「旧唐書」隠逸・田遊巌伝
関連タグ
四字熟語
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旧唐書

田遊巌は、京兆三原の人なり。
初め、太学生に補され、後にめて帰る。
太白山に遊び、林泉の会意に遇ふ毎に、すなは留連りゅうれんして去る能はず。
其の母及び妻子、並びに方外ほうがいの誌有り、遊巌とともに山水に同遊すること二十余年。
後に箕山に入り、すなは許由廟の東に室を築きて居し、自ら称す、許由東隣、と。
調露ちょうろ中、高宗、嵩山に幸す、中書侍郎薛元超せつげんちょうを遣はし其の母に問ふ。
遊巌、山衣田冠して出でて拝す、帝、左右をしてたすけしめて之をとどむ。
謂ひて曰く、
先生、山中に養道す、このごろ佳なるや否や、と。
遊巌曰く、
臣は泉石膏肓、煙霞痼疾、既に聖代に逢ひ、幸ひに逍遥を得たり、と。
帝曰く、
朕、今、卿を得るは、何ぞ漢の四皓しこうを獲るに異ならんや、と。
薛元超曰く、
漢の高祖、廃嫡し庶を立てんと欲す、黄、綺、まさに来たる、豈に陛下の隠淪いんりん崇重すうちょうし、巌穴を親しみ問ふが如くならんや、と。
帝、甚だよろこぶ。

誌は新唐書で志に作る。誌と志は同声。

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語句解説

留連(りゅうれん)
立ち去りかねること。楽しみにふけって帰るのを忘れること。
方外(ほうがい)
世俗の外。俗世間から離れていること。
許由(きょゆう)
許由。中国古代の隠者。帝堯の帝位禅譲を拒否して箕山(きざん)に隠棲。汚れたことを聞いたと潁水のほとりで耳を漱(すす)いだという。
逍遥(しょうよう)
自在にさまようこと。
四皓(しこう)
中国の秦末期に乱世を避けて隠れた四人の老人。東園公、夏黄公、甪里(ろくり)先生、綺里季。皓(こう)は白い意で、髭眉(しゅび)共に白かった為に四皓(しこう)という。
劉邦(りゅうほう)
劉邦。前漢の始祖。秦を滅ぼし、項羽と天下を争う。野人なれども不思議と人が懐き、「兵に将たらざるも、将に将たり」と称せられた。
隠淪(いんりん)
世を逃れて隠れること。世を避けて静かに暮らしている人。また、世に用いられずに落ちぶれた人をいう場合もある。
崇重(すうちょう)
尊重すること。


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