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久保天随

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列子新釈-巻上[81]

列子の周穆王第三の篇意に曰く、
全篇の趣旨は、人は形化夢覚を超越し、造化の本たる無物の域に帰するを悟知すべきを諭したのである。
張湛は之を詳説して曰く、
夫れ、生を稟け有を受くる、これを形といひ、俛仰ふぎょう変異、これを化といひ、神の交わるところ、これを夢といひ、形の接するところ、これを覚といふ。
その極をたづぬるや、同じく虚偽に帰す。
何となれば、生質根滞、百年乃ち化し、化情枝浅、視瞬にして滅す、神道恍惚、存するが若く亡きが若く、形理顕著、誠なるが若く実なるが若し。
故に涸盈こえいして、生滅の理、均しく、覚夢のみち、一なるを知れば、萬変交り陳すと雖も、未だ神慮に関せず、愚惑の者は、顕昧を以て成となし、遅速を験して疑を致すが故に、竊然せつぜんとして自ら私し形骸を以て真宅となす、孰れか生化の本、これを無物に帰すべきを知らむや、と。

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語句解説

俛仰(ふぎょう)
立ち居振る舞い。うつむいたりあおいだりすること。
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