根本通明
詩経講義-第二冊下[86.2]
文王、上に在り。
是も文王の神霊が上にあり。
天に昭かにあると云う説、非なり。
上にあるは、民の上なり、西伯となりたるを云う。
毛伝は確説なり。
在上は、文王の明徳が上に通じたるなり。
文王は此の如きなるが、国は后稷より十五代なるも、其の命は新なり。
故に垢なく濁なし。
磨き上げたる新しき命なり。
故に新民ともあり、吾が明徳を以て民の垢を洗い去りたるなり。
不顯の不は助字なり。
有周明なり、之を天より命ず、西伯の命は紂王命じたるも、紂王の命は即ち天より命じたるなり。
不時は是れなり。
是に命ず。
文王、上は徳天に通じ、下は人民に接る所、皆天の心に外るることなく、天帝の左右にありて、天に応ずるなり。
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