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先頭が「と」のことわざ・慣用句の意味と読み方

董狐の筆(とうこのふで)

権勢を恐れずに真実を書くこと。
ありのままの歴史を書き記すこと。
出典は春秋左氏伝の宣公二年。
主君の霊公を殺した趙穿ちょうせんを正卿である趙盾ちょうとんが取り締まらなかったので、史官であった董狐は趙盾を以て「其の君をしいす」と記述した故事。
ちなみに趙盾は当初「自分が殺したわけではない」と反論したが、董狐の記述した理由を聞くと自分の罪として受け入れたという。
これを評して孔子は「董狐こそ古の良史であり、趙盾こそ古の良大夫である」と述べている。

辞典

直筆して憚る所なきをいう。

  • 趙穿ちょうせん、霊公を桃園に攻む。宣子せんし、未だ山*1を出でずしてへる。太史、書して曰く、趙盾其の君をしいす、と。以て朝に示す。宣子曰く、然らず、と。対へて曰く、子は正卿となりて、げて境を越えず、かへりて賊を討たず、子にあらずして誰ぞ、と。(左伝・宣二年)

穿は趙盾の従父じゅうふ昆弟こんていの子なり。
霊公、趙盾を殺さんとす、故に出奔せしなり。

  • 晋に在りては董狐の筆(文天祥・正気歌)

*簡野道明編「故事成語大辞典」461/1009

出典・参考・引用
「春秋左氏伝」宣公二年
関連タグ
ことわざ
慣用句
出典
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語句解説

趙盾(ちょうとん)
趙盾。春秋時代の晋の政治家。趙宣子とも呼ばれる。宰相となって晋の国政に関与。後に諌めを聞かない霊公と対立。霊公は趙盾を殺害しようと刺客を放ったが、刺客は趙盾の人物をみて非を悟り、自ら頭を打ちつけて自害したという。
従父(じゅうふ)
父方のおじ。父の兄弟。
昆弟(こんてい)
兄弟のこと。昆は兄の意。
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  • *1晋の国境の山


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