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先頭が「さ」のことわざ・慣用句の意味と読み方

酒は百薬の長(さけはひゃくやくのちょう)

適度に飲めば酒はどのような薬にも勝る良薬となるということ。
出典は漢書の食貨志。
新の王莽の詔にある一節に登場する。
王莽は六管五均などの政策が役人の腐敗などによって悪用され、人民の怨嗟が激しくなったことを憂えて詔を発したとされる。

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出典
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漢書

夫れ塩は食肴しょうこうの将、酒は百薬の長にして、嘉会かかいの好なり。
鉄は田農の本、名山大沢だいたく饒衍じょうえんぞうなり。
五均賒貨しゃたいは百姓の取る所平らかに、ごうを以てたんを給ふ。
鉄をき銅をすは、有無を通行し、民の用に備ふるなり。
此の六者、編戸へんこ斉民せいみんにして能く家をす所に非ず。
市に於いてごうすと雖も貴は必ず数倍し、得ざらぬなく買ふ。
豪民ごうみん富賈ふこは即ち貧弱を要すも、先聖知りて其れを然るなりて、故に之をめぐらす。
一斡毎に科條かじょうを設けて防禁と為し、犯者を罪し死に至す。

塩は食肴に欠かせぬものであり、酒は百薬の長としてめでたい集まりに相応しいものである。
鉄は農業に必須であり、名山や大きな沢は生活を潤す産物がたっぷりと在る。
五均は人民皆を平等にし、賒貨は貧に喘ぐものを救済する。
貨幣の鋳造は、その有無に通じて人民の用に備えるものである。
この六つの政策の趣旨は庶民を斉しく救済することにあって、特定の者の家を富ますことではない。
これが正しく行われさえすれば、今、貧に喘いでいるものであっても必ず富み、必須なものを買うことができるようになるであろう。
今、富んでいる者の富は貧弱になるかもしれないが、これを古の聖人が知ったとしても然りとするところであるから、この六つの政策を実施するのである。
一つの政策毎に規則を設けて禁ずべきものを示し、これを犯す者は死に処するであろう。

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語句解説

王莽(おうもう)
王莽。前漢の末に事実上の簒奪によって帝位を奪い、新を建国。儒教の理想を強引に政治に当てはめて混乱、民衆の反乱が続発し建国わずか15年で滅亡。
六管(ろっかん)
酒・塩・鉄・銭の鋳造及び名山・大沢を国が管理するという王莽が出した専有制度。
五均(ごきん)
商工業と物価統制。王莽の政策のひとつ。
嘉会(かかい)
めでたい集まりのこと。
饒衍(じょうえん)
饒侈。多くて余りがあること。豊かでたっぷりとあること。
臧(ぞう)
はらいきよめたもの。神の臣僕。また、蔵に通じ、おさめるの意。
賒貨(しゃたい)
国家からの融資。王莽の政策のひとつ。
卬(ごう)
あおぐ。上に望む。
澹(たん)
やすらか。おちつく。さだまる。水がゆれうごくこと。
編戸(へんこ)
民のこと。戸籍に組み入れられた人民の意。
斉民(せいみん)
平民。人民を同一に扱うこと。格差をなくして生活を平等にすること。
豪民(ごうみん)
有力者のこと。
富賈(ふこ)
富商。豪商。金持ちの商人。
科条(かじょう)
科條。規定。規則。条項。

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