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先頭が「き」のことわざ・慣用句の意味と読み方

窮鳥懐に入れば猟師も殺さず(きゅうちょうふところにいればりょうしもころさず)

窮状に陥った人が助けを求めてくれば、どんな場合でも見殺しにはできないということ。
追い詰めらて逃げ場を失った鳥が懐に飛び込んでくれば、猟師であってもこれを忍びなく思って助けるものだというたとえ。
人情の大事を述べたもの。
出典は顔氏家訓の省事。
ただし、顔氏家訓には「窮鳥懐に入る」のみで猟師云々は登場せず、後の部分は日本で付け加えられたものだという。

出典・参考・引用
顔之推「顔氏家訓」省事
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ことわざ
慣用句
出典
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顔氏家訓

窮鳥入懷。仁人所憫。況死士歸我。當棄之乎。伍員之託漁舟。季布之入廣柳。孔融之蔵張儉。孫嵩之匿趙岐。前代之所貴。而吾之所行也。以此得罪。甘心瞑目。

窮鳥ふところに入るは、仁人のあはれむ所なり。
況や死土我に帰せば、当に之を棄つべけんや。
伍員の猟舟に託し、季布広柳こうりゅうに入り、孔融の張倹をかくし、孫嵩の趙岐を匿す、前代の貴ぶ所にして、吾の行ふ所なり。
此れを以て罪を得るとも、甘心瞑目せん。

追い詰められた鳥が懐に入れば、仁者はこれを憐れむ。
ましてやその人の存亡帰趨が我にかかっているとすれば、どうしてこれを見捨てることができようか。
窮した伍子胥は猟師に助けられ、身をやつした季布は朱家に救われ、孔融は頼る張倹を見過ごさず、孫嵩は追われる趙岐を匿った。
これらは古くより貴ばれる佳話であり、私の志すところである。
このような行為を以て罪を得たとしても、満足して安らかに死すだろう。

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語句解説

伍子胥(ごししょ)
伍子胥。春秋時代の呉の重臣。名は員。孫武と共に呉王・闔閭を補佐。その名は天下に轟き、呉は躍進を遂げ隆盛したが、夫差の代となり讒言によって死す。
季布(きふ)
季布。漢初の武将。楚に仕えて劉邦を苦しめ、後に漢に帰属。任侠で名高く、その人柄から「黄金百斤、季布の一諾に如かず」と称えられたという。
広柳車(こうりゅうしゃ)
物を載せてはこぶ大きな車。覆われて窓のない大型の車。
孔融(こうゆう)
孔融。三国時代の文人。孔子二十世の孫で、建安七子の一人。博識にして直言を憚らず、漢室に忠誠を尽すも曹操と対立して殺された。
甘心(かんしん)
満足すること。それでよいと思うこと。快い気持ち。


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