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先頭が「い」のことわざ・慣用句の意味と読み方

夷を以て夷を制す(いをもっていをせいす)

他国同士を戦わせて自国の利益を得ること。
敵を利用して他の敵を制すること。
四字熟語として「以夷制夷」ともいう。
なお、この言葉が描かれる中で「夷を以て夷を制す」というあり方に肯定的な部分は少しもなく、反対にそのような行いを「非」とし、それ故に強固な信頼を得たことが本文中には記されている。
この言葉において重要なことは、その裏に「夷を以て夷を制すというような覇道による物事の行い方では本当の解決は得られない。真に行うべき道は相手を心から心服させるような王道に由らねばならないのだ」ということが含まれることである。
これは孔子が説き、孟子が生涯をかけて伝えた儒教の本来の姿であり、そのような王道政治のあり方が史書においても様々なところに教訓として描かれている。
これは後世の歴史を学ぶ者の、決して見逃してはならないところであろう。
出典は後漢書の鄧訓伝。
北方の異民族であるきょうの反乱を鎮めるために、漢は同じく異民族である小月氏と連携して事に当っていた。
きょうがこれを攻撃せんとしたとき、多くの人々は「夷を以て夷を制す、さすれば我々の利となります」と目先の利益を以て最上策としたが、鄧訓はそれを許さずに小月氏を守り、これによって小月氏の信頼を獲得してきょう鎮撫に大きな力を得た。
なお、出典の本文中の記述は「夷を以て夷を伐つ」である。

出典・参考・引用
范曄「後漢書」鄧訓伝
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思想
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夷を以て夷を制すに関する出典・逸話・訳・書き下し文

古典関係

夷を以て夷を制すに関する古典の参考

  • 議者、咸な以らく、夷を以て夷を伐つ、宜しく禁護すべからずと。訓曰く、然らず。今、其の迫急に因りて徳を以て之を懐く、庶は能く用ふ有らん、と。(范曄:後漢書-列傳[鄧寇列傳][24]
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