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和歌・道歌・漢詩にある名言

蒲生君平

治極まりて民幸多し、悠々たること数百年。
時に感じて人老い易く、古を懐ひて夜眠り難し。
義勇楠河内、英雄柴筑前。
二公誰に学ぶ可き、剣に仗りて蒼天に問ふ。

出典・参考・引用
高須芳次郎著「愛国詩文二千六百年」90/212
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漢詩
蒲生君平
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蒲生君平

治極民多幸。悠悠數百年。
感時人易老。懐古夜難眠。
義勇楠河内。英雄柴筑前。
二公誰可学。仗劍問蒼天。

極まりて民幸みんこう多し、悠々たること数百年。
時に感じて人老い易く、おもひて夜眠り難し。
義勇なん河内こうち、英雄しば筑前ちくぜん
二公にこう誰に学ぶ可き、剣にりて蒼天そうてんに問ふ。

太平が長く続いて人々は脅威に気付かない。
時が止まることは無く、やがてはその脅威にさらされてしまうだろう。
懐古すれば、国家の為に忠節を尽す者がおり、一身を以て天下を安寧に導いた者もいる。
このような人々を想うと、感激して夜も眠れないのである。
義勇ならば楠木正成、英雄ならば豊臣秀吉。
どちらを学んで国を救うべきか、剣を掲げて天に尋ねてみよう。

蒲生君平は勤皇の士で寛政の三奇人の一人。
同時代に林子平がおり、子平は「海国兵談」を著して国防の大事を説いている。
時代は幕末の五十年ほど前で、ロシア船の襲来があるなど、太平の世が揺らぎ始めた時である。
数百年と述べているから、外患の患をいうのだろう。

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語句解説

楠木正成(くすのきまさしげ)
楠木正成。南北朝時代の武将。河内の豪族。後醍醐天皇の挙兵に応じて幕府の大軍と奮戦し、建部政権樹立に貢献した。後に湊川において足利尊氏に敗れ自刃。尊氏はその死を悼んで遺骸を遺族に還したという。
豊臣秀吉(とよとみひでよし)
豊臣秀吉。戦国時代の武将。織田信長に従って頭角を現し、信長の死に乗じて天下人となった。「墨俣の一夜城」、本能寺の変に際して行った「中国大返し」は有名。


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