日本の偉人・書籍にある名言
徳川家康
堪忍は身を守るの第一なり。
堪忍のなる事は、十全に至らねば家をも国をも起す事はならぬものなり。
- 出典・参考・引用
- 清水橘村「家康教訓録」82/99
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- 徳川家康
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訓戒
堪忍の事、身を守るの第一に候。
何事の芸術も堪忍なくては致し覚え候事もならぬ者にて候。
天道に叶ふ身の我儘致さぬ堪忍、地の理に叶ふは先祖よりの一郡一城を失はぬ堪忍、人和を得るも、我儘気随致さぬ堪忍、その外身體尽く堪忍を用ふる事に候。
仁は我れ召仕ふ者
君に仕へて身命を顧みず、一度も約をたがへず、是れ義の堪忍なり。
人の事を先にして身の事を後にし、起るより寝るまで行儀正しくする、是れ禮の堪忍なり。
我に慢にして人をないがしろにする事をせず、是れ智の堪忍なり。
君父につかふるより始め、假所にも表裏軽薄をなさず、是れ信の堪忍なり。
古法を守り、我物好をせず、美器美服美色に心を動かさず、是れ目の堪忍なり。
美香を好まず、
雷又は戦場にて弓鉄砲の音にも恐れず、先陣に進み、高名を遂ぐる、是れ耳の堪忍なり。
酒を過さず、美味を食せず、是れ口の堪忍なり。
其の外手足にも堪忍あるなり。
右の堪忍を一生の間全く守る人は大身は家を起し、国を治め、小身は身上を起し、家を修む。
堪忍のなる事は、十全に至らねば家をも国をも起す事はならぬものなり。
大方の堪忍強き者の是れまでは堪へしがもはや堪忍ならぬと申す事、まま申す事に候へ共、夫も義によつて破るは破ると云ふといふも行はるるものにて候得ども、多くは我が智恵短きより我儘に落入りて、身を果たし家を破り、国郡を失ふ。
たとへば弓を射る者の手前を能き引渡しはなれにてゆるみ、または持ち出し
初めより一向堪忍の気なしと言葉にも出し行ひしは近世武田勝頼にて候。
夫れ故一生の行ひ道に叶はず先祖より数代の家を失ひ身を果し候。
織田殿は近世の名将にて人をよく仕ひ大気にて智勇もすぐれし人にて候へども、堪忍七つ八つにて破れ候故、光秀が事も起り候、太閤様には古今の大気智勇至つて堪忍強かりけるゆえ卑賤より二十年の内に天下の主にもなられ候程の事に候へ共、余り大気故、分限の堪忍破れ候、大気程よき事はかく候得共、夫も身の程を知らず、万事花麗に過分の知行、行ひ其外、人に施すは大気にてはなく、奢と申すものにて候、知行其外、施す品も其の分にあたつてこそよく候へ。