思索
本当の金持ち
本当の金持ちというのは金なんかに興味がない人のことをいう。
金のあるなしは関係ない。
金が欲しくてたまらなくて金を得たことに満足する人というのは、金持ちではなくて金に使われているだけなのである。
自分が金を持っているのではない、金に自分という人格が捕まっているだけである。
そんな人間はいくら金を持っても満足することはできない。
欲が欲を生み、自らを滅ぼしていく。
ふと、そういうことを思い描いていたら大学の一節を思い出した。
大学に云う。
仁者は財を以て身を発し、不仁者は身を以て財を発す、と。
財が身となれば己の成長であり、身が財となれば己の忘却となる。
財があればそれを己のままに用いるが、不仁者は身を無くして財を得ることを求めてしまう。
本当は財のような表面的なものを発しても仕方がないのであって、全てにおいて己というものを発せねばならないのだ。
古来より語られる言葉は、なんと深淵なものであろう。
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