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補記

語るに足る者、図るに足る者

語を伝えるを喜ぶ者は浅陋せんろうである。
表面ばかりでいたずらに自己の考えを述べ、その実、少しも信念の発露がない。
共に語るに足る者は、その志に感じて初めて伝えんと欲する者のみである。
事を議するを好む者は浮薄である。
己の好むところに従って論破するを好み、他を容れる心無し。
自己の信念が無いが故に議論を好む。
真の人物なれば、議論はせずに意見を聞き、その後に自己の内でそれを抱懐し、自己の信念に基づいて決定す。
故にナポレオン曰く、
軍議は責任を分かたんとする卑劣な手段なり、と。
志ある者の言葉は大いに聞きて共に図るべし。
然れども、それは議論とならざることを思うべし。

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