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補記

天命の定まる所以

天命定まらず、禍乱を為す者は人なり。
天はその上に在る者を視て、その禍福を降す。
上に在る者が至誠要道を務めれば、遂には天は福を降し、上に在る者が悪逆非道を尽くせば、遂には天は禍を降す。
天は幽王の務めざるを視て不平を生じ、故に尹氏を生じ、その位に当たらざるを得て、王政ここに乱る。
無道に由りて最も困しむは民である。
故に王がその務めを全うするを願い、天意を得て君子の至るを願い、君子の平らかなるを願う。
心に安寧を得て私情を蕩滌とうてきするは和気天に至るの本。
人心安んじ表裏相応ず。
悪を去り善を進めて天下を治めるは、人君たるの務めである。
小事に拘泥せずして大事を務む。
大事の何たるかを察せざる者を上に頂きて、未だ嘗て興隆するを得たる国は非ず。
至誠は天に合す。
ただ人物の宜しきを得て、国は栄え、人々は生活を楽しむを得る。
上に在るを得たる者は、決して形だけの者に惑ってはならない。
形だけの者は定まるところなく、故に自らの欲するところを力を以て得んと欲し、得たれば満足して微笑を以て相接す。
小人は表裏相異なる、その心底を察して相応ずべし。
万事兼ね入れて用い尽くす、人物の人物たる所以を知りてはじめて上に立つに相応しきというべきか。
その人を得て天命定まり、その人を失いてまた天命定まる。
その定まるところは同じからずと雖も、定まる所以はこれ同じ。
人物足らんと欲すれば、その禍福終始を尋ぬべし。

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語句解説

幽王(ゆうおう)
幽王。周十二代目の西周最後の王。褒姒(ほうじ)を溺愛して諸侯を軽んじ、太子を廃嫡。異民族の犬戎と手を組んだ申侯によって滅ぼされた。後、廃嫡された宜臼が継いで東周となる。
蕩滌(とうでき)
洗いのぞく。洗い流して清めること。
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