エピソード
安井息軒は幼少の頃、兄の文治と共に田畑を耕すのが日課であった。
二人は畑に向かう際には必ず書物を携帯し、休憩には読書にふけるのが常であったという。
安井息軒は背が低く、色黒で病気によるあばたがひどかった。
そのような容姿に、人々から「猿」とからかわれた。
大阪へ学問修行にでた安井息軒は、倹約のために塩と醤油で煮た大豆ばかりを食して外で食事をしなかった。
周囲は「仲平豆」と名付けた。
安井息軒は江戸に遊学し、
その容姿から周囲の者に馬鹿にされたが、常に黙ったまま読書にふけっていた。
ある時、からかいに来た者が、座右の柱に一句書かれているのを発見した。
そこにはこう書かれていた。
今は
父の滄洲が息軒に嫁を取ろうと案じた。
従姉妹に二人の娘がおり、姉は豊、妹は佐代といった。
滄洲は姉の豊に縁談を申し込んだが、「亭主にするのは嫌だ」と断られてしまった。
すると、それを伝え聞いた妹の佐代が「わたしでよければいきたい」と申し出た。
佐代は「岡の小町」と呼ばれるほど器量良しであったので、人々は「「岡の小町が猿のところへ往く」と噂したという。
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