先頭が「ち」の語彙の意味と読み方
張横渠
北宋の儒家。1020-1077年。
本名は張載で字は子厚、横渠は号である。
宋学創始の一人で、気を万物の根源とするの気一元論・太虚説を唱え、宇宙を一箇の生命体として捉えた。
若い頃に兵法を好むも、范仲淹に中庸を与えられて学問に打ち込み、38歳にして進士に及第。
地方官を歴任して中央に召されるも、王安石と合わずに晩年は家に居て読書と思索に明け暮れたという。
享年58歳。
張横渠は宇宙の本体を「虚即気」とし、「虚」は無であり微であり、「気」は有であり顕であり、この有無を渾然として一となし、決して離れて存在すべきものではないと説いた。
宇宙の本体たる虚気は無限大であるが、世に有限の存在としてある様々な事物は虚気の中に生々化育している一つの現象であり、これらは陰陽の法則に由りて互いに相対するものが混一して生ずるものとした。
そして「虚の至りは聖人なり」として、相対的な我執から離れて天地万物一体の無我の境地を目指し、ここに至りて人は精神的に永劫無限の存在になるとしている。
著書には「東銘」「西銘」「正蒙」がある。
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エピソード
終戦の詔にある「万世の為に太平を開く」は「天地の為に心を立つ、生民の為に命を立つ、往聖の為に絶学を継ぐ、万世の為に太平を開く」の結語であり、安岡正篤がここから採用した。
横渠というのは自らつけた号ではなく、若い頃と晩年に住んで講学した地名が陝西鳳凰府横渠鎮であったことから人々が横渠の先生という意味で横渠先生と呼んだことが由来だとされる。
兵学を修めて功名に心を馳せていた若き張横渠に出会った范仲淹は、その志を戒めるために中庸を与え、まずは道を学んで己を修めることの重要性を説いた。
これに感悟した張横渠は一転して求道生活に入り、自己を大成させたという。
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