語彙辞典

先頭が「し」の語彙の意味と読み方

指南(しなん)

方針を示すこと。
指導すること。
語源は“指南車”で、車の向きに従って歯車が動くことで車上の羽毛が必ず南を指し示すもの。
指南車は周の周公旦（しゅうこうたん）が、遠方の南蛮からの使者が帰路を見失った際に与えた車。
使者は指南車の羽毛の指に従って進み、三年にして帰国するを得たという。

辞典

学芸を教導すること。
指南車の方角を知らしめるが如きを以て喩える。

• 予（われ）、非に習ひて遂に迷へり。幸いに吾子に指南せらる。（文選・張衡「東京賦」）
• 黄帝の時、蚩尤（しゆう）乱をなす、其の人銅鐡（どうてつ）の額、能く大霧を作（な）す。軒轅（けんえん）、指南車を作りて蚩尤と涿鹿（たくろく）の野に戦ひて之を擒（とりこ）にす。（史記）
• 周の世に、越裳（えっしょう）氏来貢す、帰るに其の路を忘る。周公、指南車を与へて、其の国に至らしむ。（史記）
• 指南は車なり、木を刻みて人と為し、手を挙げて南に指す。後世の羅経針の如し。（書言故事）

^*簡野道明編「故事成語大辞典」269/1009

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語句解説

周公旦（しゅうこうたん）

周公旦。周の武王を補佐して殷討伐に寄与。武王死後には摂政となり国家の礎を築いた。

黄帝（こうてい）

黄帝。軒轅（けんえん）。伝説上の帝王で理想の君主として尊ばれる。文学、農業、医学などの諸文化を創造したとされる。

蚩尤（しゆう）

蚩尤。中国神話にみえる英雄神で、様々な兵器を開発した神。軍神として畏怖された。