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先頭が「し」の語彙の意味と読み方

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わたくし。
自分本位で利己的なこと。
私(ひそ)かとも使い、この場合は他の人に気付かれないようにする意味となる。
利己的な意味とは多少異なり、「ささやかに」等のニュアンスもある。
本来は隷属的な耕作者を意味し、公はそれを使う領主のことであったとされる。
禾は穀類の総称でたれるアワの形を描き、ムはすきの形で鋤を使って耕作する人のことを指す。
また、ムは三方を塞ぐ形で囲い込むことを意味するという説もある。
古くはムを「わたくし」として使っており、説文には韓非子・五蠹ごとの一節を引用して「韓非曰く、蒼頡そうけつ字を作す、自ら営むをムと為す(ム部)」「ムに背くを公と為す(八部)」とある。
漢字の成り立ちは私が先であり、公が後だとされる。
遥か古代には公はなく私だけであり、公など意識せずとも自然に人は生きていたので、私がそのまま公であったのである。
それが次第に人が集まり互いに関わっていくようになると、私=ム(わたくし)になるものがある。
これによって現在の公私の別が生れてきたという。
従って、本来の「私」は自らを耕し自らを育てるというものであり、それはそのまま公であったのである。
尚、「公」の成り立ちであるが、本来は儀礼の行われる宮廟の象形文字であって、公の八が「左右にそむく」の意でム(わたくし)に背くとする説は後の字形による解釈であるとされる。

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私に関する出典・逸話・訳・書き下し文

古典関係

私に関する古典の参考

  • 自ら環する之を私と謂ひ、私に背く之を公と謂ひ、公私の相背くなりて、乃ち蒼頡固より之を知る。(韓非:韓非子-五蠹[未完.3]

語句解説

蒼頡(そうけつ)
蒼頡。漢字を発明したとされる古代中国の伝説上の人物。黄帝に仕える史官であったとされる。
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