先頭が「し」の語彙の意味と読み方
小人
小人とは君子の対義語として、利を好み私心が強い者のこと。
自己の利益、有利になるならば他に害が及ぼうとも平気で物事を実行する者を指す。
小人は自分の信念というものはなく、自己の本能的な欲求に従って行動する。
小人の全ての行動は利に基づくのである。
尚、人物の分類という意味では才が徳に勝さる者のことを云う。
この場合は利を好み私心が強い者という意味はあまり強くはないが、いずれにしろ才が徳よりも乖離すればするほど利己的・排他的になる。
司馬光はその著書である資治通鑑の中で「才を挟んで善を為すのは徳の力であり、才を挟んで悪を為すのは徳が薄いからである。愚者のように徳もないが才もなければ、何をしようとも大した弊害にはならないが、才ある小人は才が徳に勝れば勝るほど利己的になって危険であるから、小人を採るぐらいならば愚者を採る方がましである」とまで断じている。
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小人に関する出典・逸話・訳・書き下し文
古典関係
小人に関する古典の参考
- 徳の才に勝る、之を君子と謂ひ、才の徳に勝る、之を小人と謂ふ。小人の智は以て其の姦を遂ぐるに足り、勇は以て其の暴を決するに足る。是れ虎にして翼ある者なりて、其の害を為すや、豈に多からざらんや。(司馬光:資治通鑑-周紀[威烈王][10])
- 今人の師法に化し、文学を積み、禮義に道る者を君子と為し、性情を縦にして、恣孳に安んじ、而して禮義に違ふ者を小人と為す。(荀子:荀子-性惡[1-2])
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