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先頭が「く」の語彙の意味と読み方

薫蕕(くんゆう)

薫は香草、良い匂いのする草のことで、蕕は悪臭の草のこと。
転じて善悪や君子と小人などの例えとなる。
出典は春秋左氏伝の僖公四年。
驪姫の美貌に心を奪われた晋の献公が妻にするの吉凶を占った際に「不吉なり。薫蕕を一緒にすれば十年悪臭が残る」という辞がでた。
献公はこの諫めを聞き入れることはなく、やがて夫人として迎え入れられた驪姫は寵愛を盾に自らの子を後継ぎにせんと画策し、晋の内乱を招くこととなる。

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春秋左氏伝

初め、晋の献公欲するに驪姫りきを以て夫人と為す。
之をぼくす、不吉なり。
之をぜいす、吉なり。
公曰く、
筮に従はん、と。
卜人曰く、
筮は短にして亀は長なり、長に従ふに如かず。
且つ其のように曰く、之を専らにせばかはり、公のぬすまん、一薫一蕕いちくんいちゆう、十年尚ほ猶ほ臭有りと。
必ず不可なり、と。

晋の献公は驪戎討伐で得た驪姫を夫人にしようと思ってその吉凶を占った。
最初に亀甲による占いをすると「不吉である」とでたので、次に筮竹を使って占わせたところ「吉である」とでた。
そこで献公が云う。
筮に従おう、と。
これに対して卜人が云う。
筮よりも亀の言葉の方が優れております。
亀に従うほうが宜しいでしょう。
亀裂の形にはこのように出ております。
「これを寵愛すれば心変わり、公の牡羊を除くであろう。香草と臭草を一緒にすれば十年経っても臭いが残る」と。
夫人にするべきではありません、と。

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語句解説

驪姫(りき)
驪姫。麗姫。異民族の驪戎(りじゅう)の娘。晋の献公の夫人となる。我が子を太子にせんと企て、他の公子である申生らを謀殺。驪姫の乱と呼ばれ晋の国政は混乱を期した。
卜(ぼく)
占い。獣骨や亀甲を焼いてそのひび割れによって吉凶を占う。
筮(ぜい)
占い。竹でつくった細い棒(筮竹)を使う占い。
繇(よう)
うらないのことば。亀裂の形(卜兆)の辭。
渝(ゆ)
かわる。あふれる。変化する。中身がぬけて入かわる。
羭(ゆ)
美。美しく大事なもの。黒色の牡羊。山の神。

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