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先頭が「か」の語彙の意味と読み方

矍鑠(かくしゃく)

年老いても身心ともに元気で丈夫な様。
矍には「素早く反応する」の意があり、鑠には「光輝く」「盛ん」という意がある。
矍は鳥が目をきょろきょろさせる様を示したもので、本来は「おどろきみる様」「落ち着かない様」の意を持つがここでは当てはまらない。
尚、矍の漢字解説は「矍矍」の項に譲る。
鑠は「金+樂」で樂は楽の旧字。
樂には「柄のある手鈴の形」とも「木の上に繭のかかった様を描いたもの」とも諸説あるが、古代に手鈴を鳴らして神を呼んだというのが今に残る意味を考えると納得し易い。
また、「鑠」に関しては説文解字の金部に「金をかすなり。金に従ひ樂を声とす」とある。
この溶かす時のまばゆく光輝く様子から「金属を溶かす」という意味と同時に「光り輝く」「盛ん」「美しい」などの意味が生じたのだとされるが、金自体の「輝く美しさ」と金を「溶かす」という行為、そしてそれによって製造されたものに備わる「永続性」から前述の意味が備わったとも考えられる。
金は不活性な金属なので何千年経ってもその輝きを失うことがない物質である。
それ故に、古代中国では錬金術師達が求めた不死の霊薬を「錬金薬」と呼んだように、金を永遠の象徴とした。
この永遠の象徴たる「金」を溶かして形を変えることは超常的であり、神聖なもの、即ち神を降臨させることに等しいものとし、古代人は「樂」と組み合わせたのかもしれない。
出典は後漢書の馬援伝。
年老いた馬援が遠征軍の大将となることを望み、自分がまだまだ元気であることを皆の前で示した。
その様子に光武帝は「なんと矍鑠たる翁よ」と感嘆した故事。
尚、馬援はこの遠征で病となって死んだが、死と同時に怨恨から讒言が行われて官爵を剥奪された。
その名誉が回復されたのは次代の明帝の時であった。

出典・参考・引用
范曄「後漢書」馬援伝
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古典関係

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