先頭が「え」の語彙の意味と読み方
エピクロス
アテナイ人。紀元前341-270頃。
レスポス及びラムプサカスに住居して後、紀元前306年頃に故郷のアテナイ府にてその哲学を講じた。
エピクロスの哲学は快楽主義と呼ばれているが、その「快楽」の意味は俗な意味とは大きく異なる。
エピクロスのいう快楽とは快活・安舒(ゆったりとしている様)・無畏・無憂の心的状態で始めて達し得るものであるとする。
故に快楽は即ち禁欲、さらに進めて禁欲という思念さえも生じない状態であって初めて達し得るものなのである。
尚、ここで禁欲状態では足らないというのは、禁欲は情欲を抑えた状態であり、これは心が欲にとらわれている状態であるから決して快楽とはなり得ない。
だが、人はその精神性が高くなればなるほど、それまで生じていた情欲は消え去り、終いには無欲へと帰する、というのが様々なる偉人(事功の英雄ではない)のあり方に共通する部分である。
ここで注意すべきなのは、無欲というものは私欲、情欲が無いということであり、心が無いわけでも欲が無いわけでもない、ということである。
本当の意味で自然のままの心となるだけであり、真実の意味で人生を欲するのである。
そうであって本当の意味での志気が生じ、撥乱せし生命の息吹がその人間から発せられることになる。
このエピクロスの思想は老子の無為自然と根本的に同じであるし、仏教の「我執を去る」といった部分とも共通点を見出せるであろう。
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