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エピクテトス

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提要[52]

吾人は始終次のような考えを胸に抱いて居らねばならぬ。
一、
嗚呼、ツオイス及び汝じ「運命」よ、我を導け。
汝等の神聖なる意志のままに、我の将に立つべき処に導くべし。
我はいかでか従うをためらわん。
たとえば我れ怏々として従ふを欲せずとも猶ほ我は従はざるを得ざるに至らん。
二、
好く運命に従うもの、是ぞ賢者、また神を知る。
三、
クリトン、神よしと思はばよしと思う如くあれ。
アニトス、メリトス、我を殺し得ん、然れど彼等いかでか我が霊魂を害し得んや。

現代語訳・抄訳

我等は始終、次のような字句を胸に抱いておらねばならない。
一、
ああ、ツオイス神と運命よ、我を導け。
汝等の神聖なる意志のままに、我が在るべきところへと導くべし。
我はどうして従うをためらおう。
たとえ従うを欲せずとしても、いずれにしろ従わざるを得ぬであろう。
二、
善く運命に従う者は賢者である。
神の真理を知得せし人である。
三、
クリトンよ、神々の御心のままによしとせよ。
アニトス、メリトスは我を殺すことはできよう。
されども、彼等がどうして我が霊魂を害すことができようか。

出典・参考・引用
カ-ル・ヒルティ著・平田元吉訳「幸福」63/190,エピクテ-ト著・斎木仙酔(延次郎)訳「修養訓」58/105
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備考・解説

一はストア学者クレアンテスの句、二はオイリビデスの今は無くなった劇よりの句、三はソクラテスが其の朋友クリトンへの言。アニトス、メニトスは彼の告訴人。

ヒルティ著「幸福」に以下の補注がある。
一はストア学者クレアンテスの句、二はオイリビデスの今は無くなった劇よりの句、三はソクラテスが其の朋友クリトンへの言。アニトス、メニトスは彼の告訴人。

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