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エピクテトス

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提要[47]

汝は平生質朴の生活を為すとも、之を誇ってはならぬ。
汝は只だ水を以て渇きを治すも、常に誇りがちに之を語ってはならぬ。
汝は寧ろ貧民は如何に一層の難澁に居るか、如何に忍耐強いかを考えなければならぬ。
汝じ一度難儀と忍耐とを練習せんとならば、之を自分の為に為して、他人の為に為してはならぬ。
像を抱くを止めよ(寒気を堪え得ることを世人に示さんが為に名誉心あるストア学者は寒中に之を為した)。
汝じ大渇を覚えば、冷水を口一杯啣へ、然る後に之を吐き出せ。
然し誰にも之を語るな。

現代語訳・抄訳

お前はいかに質素な生活をなすとも、それを誇ってはならない。
お前は水以外の飲み物を口にせぬということで、これを誇りがちに語ってはならない。
お前はむしろ、貧民がいかにこれ以上の難渋に居るかを、いかに忍耐強いかを考えなければならぬ。
難儀と忍耐とを得ようと苦行に赴くのならば、お前はこれを自分のために為して、他人に知られんがために為してはならない。
銅像を抱くが如き行為をやめよ。
苦行の中で、もし大いに渇きを覚えたならば、冷水を口いっぱいに含み、然る後にこれを吐き出すがよい。
しかしそれを誰にも語ってはいけないのだ。

出典・参考・引用
カ-ル・ヒルティ著・平田元吉訳「幸福」59/190
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