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呉起

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呉子-圖國[3]

それ道とは、本にかへり、始にかへ所以ゆえんなり。
義とは事を行ひ功を立つる所以なり。
謀とは害を去り利にく所以なり。
要とは業を保ち成を守る所以なり。
もし行、道に合はず、きょ、義に合はずして、しかも大に処り貴に居らば、わずらひ必ずこれに及ばん。
此を以て聖人はこれを安んずるに道を以てし、これをおさむるに義を以てし、これを動かすに礼を以てし、これをするに仁を以てす。
この四徳はこれを修むれば興り、これを廃すれば衰う。
故に成湯せいとうけつを討ちて夏の民喜説きえつし、周武を伐ちて殷人そしらず。
な天人にしたがふ。
故にく然り。

現代語訳・抄訳

道とは絶えざる反本復始をなして、本質へと決然として向かうものである。
義とは事を果決して断行し、功用を生ずる所以である。
謀とは禍福を判じて害を去り、利へと向かいし所以である。
要とは成業を保ちて継ぎゆく所以である。
されども如何に謀を為し大利を生じ、要を得て業成り貴位へと上ったとしても、その行が道に合わず、挙が義に合わざるものであったのならば、終には福は禍となり成業は潰えることになるであろう。
だからこそ、聖人は行くに道を以てして安んじ、挙するに義を以てして天理に沿い、動かすに礼を持して節操あり、慰撫するに仁を以て全てを兼ね入るのである。
この四徳を得て事を成せば必ず興り、廃すれば終には衰えるは必然である。
故に成湯は、主君たる桀を討つも夏の民は喜び、武王は主君たる紂を討って殷の民は少しも誹ることなくして栄えるに至った。
これらはすべて天命に順ったが故に、万事がうまくいったのである。

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出典
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語句解説

湯王(とうおう)
湯王。天乙。成湯。殷王朝の始祖。賢臣伊尹を擁して夏の桀を倒した。後世に聖王として称賛される。
桀(けつ)
桀。夏の十七代目の王。暴君の代表。殷の湯王によって滅ぼされた。
喜説(きえつ)
喜悦。よろこびうれしがること。
武王(ぶおう)
武王。周王朝の始祖。太公望を擁して殷討伐を成し遂げた。
紂王(ちゅうおう)
紂王。殷の三十代皇帝で暴君の代表。帝辛。材力人に過ぎ勇猛であったが無道にしてその治世は乱れ、周の武王によって滅ぼされた。
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殷30代目の最後の帝で本名は辛。暴君の代表として桀と共に有名で、周…


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