戴聖
礼記-中庸[12.2]
君子は其の位に素して行ない、その外を願わず。
富貴に素しては富貴に行ない、貧賤に素しては貧賤に行なう。
君子入るとして自得せざるなし。
上位に在りては下を
上は天を怨まず、下は人を
故に君子は易きに居て以て命を
現代語訳・抄訳
君子というものはその自らの立場・環境に応じて自らを尽くし、他の立場や環境を欲したりはしない。
富貴ならば富貴のままに自らを尽くし、貧賤ならば貧賤のままに自らを尽くす。
未開の辺境にあったとしてもその場で自らのあるがままを行うし、いかなる困難の中であってもそれを受けとめて自らを尽くす。
君子は如何なる境遇であっても自らを失わずに自らを得る。
上位に在らば決して下を凌ぎ侮ることはないし、下位に在らば決して上に媚び諂うことはない。
ただ、己自身を正しくすることを求める。
そこに少しも人に求める所がないから、怨みの生じる余地もない。
常に自反あるのみにて、決して天にすがることも、人を咎めることもしない。
故に君子は己を修めるという当然のことを行なって当然の如くに命を得、それに対して小人は右往左往して自らに反ることないから命を偶然にまかせ、それでいて得られるかもわからぬ幸が降ってくるのを望んでいるのである。
- この項目には「1個」の関連ページがあります。
<< 前のページ | ランダム | 次のページ >> | |