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孔子

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詩経-大雅[文王之什][霊台]

詩序
霊台は、民始めて付くなり。
文王命を受けて、而して民其の霊徳有りて以て鳥獣昆蟲に及ぶを楽しむ。
詩文
霊台を経始す、之を経し之を営す。
庶民之をおさめ、日成らずして之を成せり。
経始はすみやかにする勿れ、庶民子来しらいす。
霊囿れいゆうに在り、麀鹿ゆうろくここに伏す。
麀鹿ゆうろく濯濯たくたくたり、白鳥翯翯かくかくたり。
霊沼れいしょうに在り、ああちてうおおどる。
虡業きょぎょうしょうたり、賁鼓ふんこよう
ああ鼓鐘こしょうろんず、ああ辟廱へきように楽す。
ああ鼓鐘をろんず、ああ辟廱へきように楽す。
鼉鼓だこ逢逢ほうほうたり、朦瞍もうそうことを奏す。

現代語訳・抄訳

詩序
霊台は、民の自然と懐きたるをいうなり。
文王命を受け天下を治め、民その霊徳の鳥獣昆虫にまで及ぶを楽しむ。
詩文
霊台を経始す、これを測しこれを造す。
庶民これに従事し、日成らずして成せり。
文王、経始は急ぐこと勿れと言うも、庶民、慕い来たりてこれを成す。
文王霊囿れいゆうに在り、牝鹿ひんろくここに安んず。
牝鹿の毛並み色鮮やかに、白鳥清みて輝く。
文王霊沼れいしょうに在り、ああ、魚も親しみ躍る。
虡業きょぎょうあり、しょうたり、大鼓あり、大鐘あり。
嗚呼、鼓鐘を正奏し、嗚呼、辟雍へきように集し万民共に楽しむ。
嗚呼、鼓鐘を正奏し、嗚呼、辟雍に集し万民共に楽しむ。
鼉鼓だこ調和す、楽官さらに楽奏す。

出典・参考・引用
根本通明著「詩経講義」第二冊102-104/219,林英吉著「五経講義・詩経・書経之部」第一冊195-196/268
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備考・解説

最後の「公を奏す」は註釈に「一通り終わるも皆楽しみていつまでも飽かぬ故にもう一段の音楽にとりかかるをいい、初めから楽することを奏とは言わない」とある。
全体に関して、「この章は、文王の大なる徳が廃れたる学校を興し、礼儀を備え、正楽を盛んにしたるをいう」との言説がある(要約)。

語句解説

霊台(れいだい)
西周の神廟である辟雍(へきよう)付設の建物のこと。
文王(ぶんおう)
文王。周の武王の父で西伯とも呼ばれる。仁政によって多くの諸侯が従い、天下の三分の二を治めたという。
経始(けいし)
経営を始める、営造をはじめる。地わりをして家を建て始める。測量して位置を定めて工事を始めること。
亟(きょく)
すみやか、しばしば、きみ、ころす。
子来(しらい)
子のように慕ってくること。
霊囿(れいゆう)
西周の神廟である辟雍(へきよう)付設の鳥獣飼場。囿はにわ、かこいの意で林や池、鳥獣を養うところをいう。
麀鹿(ゆうろく)
めじかとしか。麀でめじかの意。鹿は古くから神鹿として霊域で飼われた。
濯濯(たくたく)
清らかな様。つやつや、光り輝くこと。肥えること。
翯翯(かくかく)
鳥の羽が白く清らかなこと。
牣(じん)
満ちるに通ず。
虡業(きょぎょう)
虡は鐘や太鼓をかける台の柱。業は飾り板。業を設け虡を設く(周頌・有瞽)とある。
維(これ)
つなぐ、つらなる。
樅(しょう)
もみ。もみの木。樅樅で「樹の茂りあう様」を意味する。また、鐘を懸ける器の鋸歯の如き刻み。すみ飾り。崇牙。詩経大雅霊台篇にある。
賁鼓(ふんこ)
太鼓の意。
鏞(よう)
かね。つりがね。大鐘を鏞という。庸の字を用いる場合もある。
鼓鐘(こしょう)
鐘をうち鳴らすこと。太鼓と鐘。
論(ろん)
註釈に「論は思に通ず。正しき楽を奏することをいう」とある。
辟廱(へきよう)
廱は雍に通ず。辟雍は周の霊廟のある聖地をいい、天子の学宮を指す。
鼉鼓(だこ)
わにの皮を張った鼓。鼉はわにの一種。
逢逢(ほうほう)
鼓声。註釈には「和くなり」とある。また、雲などの起る様。
朦瞍(もうそう)
楽官。めしいの意で朦はまなこのあるを、瞍はまなこの無きをいう。古くは盲人を楽師とした。
辟雍(へきよう)
周代において天子が建てた大学。礼儀、音楽、古典などを教えた。
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