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礼記-禮運[3]

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原文

言偃復問曰。如此乎禮之急也。孔子曰。夫禮。先王以承天之道。以治人之情。故失之者死。得之者生。詩曰。相鼠有體。人而無禮。人而無禮。胡不遄死。是故夫禮。必本於天。殽於地。列於鬼神。達於喪祭。射御。冠昏。朝聘。故聖人以禮示之。故天下國家可得而正也。

書き下し文

言偃げんえんた問うて曰く、
此の如きか禮の急なるや、と。
孔子曰く、
夫れ禮は、先王以て天の道をけ、以て人の情を治む。
故に之を失する者は死し、之を得る者は生く。
詩に曰く、鼠をるにたい有り、人にして禮無し、人にして禮無きは、なんすみやかに死せざると。
是の故に夫れ禮は、必ず天に本づき、地にならひ、鬼神に列し、喪祭そうさい射御しゃぎょ冠昏かんこん朝聘ちょうへいに達す。
故に聖人は禮を以て之に示し、故に天下国家得てせいたる可し、と。

現代語訳・抄訳

子游しゆうがまた尋ねた。
それほどまでに禮というものは重要なものなのでしょうか、と。
孔子が言った。
そもそも禮とは、先王が天道に従って用い、人情に適って治めたものである。
故に禮を失すれば衰退し、禮を得れば生育する。
だから詩経の相鼠そうそにはこのように詠われている。
鼠を視るに手足備わる、人と異なりしは禮無きが故である、人にして禮無きなるは、どうして早く死せぬのだろうかと。
この故に禮というものは、必ず天道に本づき地勢に由り、鬼神を列ね、喪祭そうさい射御しゃぎょ冠昏かんこん朝聘ちょうへいに達する。
故に聖人は禮を以て万民に示し、故に天下は和順し、国家は当然の帰結として正道に至るのである、と。

出典・参考・引用
塚本哲三著「漢文叢書第17」126/360,早稲田大学編輯部編「漢籍国字解全書」第26巻271-272/330
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語句解説

子游(しゆう)
子游。春秋時代の学者。江蘇呉の人。孔子十哲の一人。文学に優れていたとされる。
殽(こう)
まじる、みだれる。肴(さかな)は骨付きの肉。故に骨肉が雑じることをいう。
喪祭(そうさい)
喪に服することと先祖を祭ること。
射御(しゃぎょ)
弓術と馬術。また、射騎。古代の六芸の二つ。
冠昏(かんこん)
元服と結婚。昏は婚の初文で古くは昏を用いる。冠婚と同じ。
朝聘(ちょうへい)
諸侯が天子に謁見すること。
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