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礼記-禮器[3]

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原文

禮也者。合於天時。設於地財。順於鬼神。合於人心。理萬物者也。是故天時有生也。地理有宜也。人官有能也。物曲有利也。故天不生。地不養。君子不以為禮。鬼神弗饗也。居山以魚鼈為禮。居澤以鹿豕為禮。君子謂之不知禮。故必舉其定國之數。以為禮之大經。禮之大倫。以地廣狹。禮之薄厚。與年之上下。是故年雖大殺。衆不匡懼。則上之制禮也。節矣。

書き下し文

禮なる者は、天時てんじに合し、地財ちざいを設け、鬼神にしたがひ、人心に合し、万物をおさむる者なり。
是の故に天時に生有り、地理に宜しき有り、人官じんかんに能有り、物曲ぶっきょくに利有り。
故に天生ぜず、地養はざれば、君子は以て禮と為さず、鬼神はけず。
山に居りて魚鼈ぎょべつを以て禮と為し、澤に居りて鹿豕ろくしを以て禮と為さば、君子は之を禮を知らずと謂ふ。
故に必ず其の定む国の数を挙げ、以て禮の大経と為す。
禮の大倫は、地の広狭を以てし、禮の薄厚は、年の上下とともにす。
是の故に年に大殺だいさいありと雖も、衆、匡懼きょうくせざれば、則ちかみの禮を制すること節あり。

現代語訳・抄訳

禮というものは、四時に適い、地の利に宜しく、鬼神にしたがい、人心に合し、万物ののりとなるものである。
この故に時宜を得て生育し、地理を得て成長し、人の官職に適材適所あり、物の用途に能不能あり。
故に時宜を得ず、地に適わざれば、君子は禮とせず、鬼神もこれを善しとせず。
山に居りて海の産物を以て禮と為し、沢に居りて山の産物を以て禮と為さば、君子はこれを禮を知らぬ者という。
故に必ず国の大きさを考えて、禮のあるべき姿を示す。
禮の規則は領地の広狭に従い、禮の薄厚は年の豊凶に従う。
この故に年に大凶あろうとも、人々に恐れるところが無ければ、上に在る者の禮に通ずること大節ありといえるのである。

出典・参考・引用
塚本哲三著「漢文叢書第17」135-136/360
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礼記
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備考・解説

そのあるがままのところを尽すをいう。
他を望むは禮に非ず、天の時に適い、地の利に因り、祖宗にどうじ、人心に合し、万物に通ず。
すべてに適うは王陽明の所謂「万物一体の仁」、これを以て致すところを禮という。
己から乖離せざるは国においても同じ。
禮を形として示すには、財が要る。
国が大なれば税収多き故に禮もまた多にして可なれども、年が凶年ならばその執り行うところは薄くする。
禮は人民を虐げるものに非ざることを知るべし。*1

語句解説

物曲(ぶっきょく)
すべて。万物。こまごましたものまで。
魚鼈(ぎょべつ)
魚類の総称。魚とすっぽん。
大殺(だいさい)
凶年。
匡懼(きょうく)
おそれる。
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  • *1凶年で人々に余裕がなければ税を軽くするのも、一種の禮というべきか。

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