酔古堂剣掃-醒部[89]
原文
雖無泉石膏肓。煙霞痼疾。要識山中宰相。天際眞人。
書き下し文
現代語訳・抄訳
隠逸の真趣に心を馳せずとも、そのような志を抱く英傑は知らねばならない。
- 出典・参考・引用
- 塚本哲三編「酔古堂劒掃・菜根譚」28/315,笹川臨風(種郎)校「酔古堂剣掃訳註」27/385
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備考・解説
泉石の膏肓、煙霞の痼疾は自然を愛してやまないことをいい、旧唐書の隠逸(田遊巌伝)に登場する。
山中の宰相は隠棲していても為政者から国家の大事を相談される人物のこと。
梁の
天際の真人は人格の高尚なるをいい、世説新語の容止第十四にみえる。
桓温曰く、
諸君、道を軽ろんずる莫れ。
仁祖、企脚して北窓の下、琵琶を弾ず、故に自ずから天際真人の想有り、と。
名誉を欲し、地位権力に固執するような人々ばかりと交わっては国を誤る。
為政者たる者、握髪吐哺を忘れ給うべからず。
語句解説
- 泉石(せんせき)
- 泉水と庭石。山水の勝景。その景色を楽しむこと。
- 膏肓(こうこう)
- 達しがたいところ。治しがたい病気。膏は心臓の下、肓は横隔膜の上の部分で、医薬が達しがたいことをいう。
- 煙霞(えんか)
- 煙とかすみ。ぼんやりとかすんで見える風景。
- 天際(てんさい)
- 天のはて。はるか彼方。
- 真人(しんじん)
- 得道のひと。至人。
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