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范曄

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後漢書-列傳[卓魯魏劉列傳][41]

劉寛、字は文饒、弘農の華陰の人なり。
父の崎、順帝の時に司徒と為る。
寛のかつて行くに、人に牛を失ひし者有り、乃ち寛が車中につきて之を認む。
寛、言ふ所無く、を下り歩きて帰す。
しばらく有り、認む者、牛得て送り還し、叩頭こうとうし謝して曰く、
はずかしくは長者にそむく、刑する所の罪に随はん、と。
寛曰く、
物に相類有り、事は脱誤すし、幸ひにつとめて帰し見ゆる、何為なんぞ之を謝するか、と。
州里、其のむくひざるに服す。

現代語訳・抄訳

劉寛は字を文饒といい、弘農の華陰の人である。
父の劉崎は順帝の時代に司徒になった。
ある時、劉寛が車で出かけていると、牛を失くした者がおり、劉寛の車を引いていた牛を見て自分の牛であると訴えた。
劉寛はこれに対して何も言わずに車を下り、そのまま歩いて帰っていった。
しばらく時が経った頃、先の牛を失った者が自分の牛を見つけたので、劉寛のもとに牛を引いて訪れ、叩頭して謝罪して言った。
恥かしくも長者に背いてしまいました。どのような罪にも随いましょう、と。
すると劉寛は言った。
物には互いに似たものがあり、事には誤りというものがある。幸いにも牛は戻ってきた。どうして謝する必要があるだろうか、と。
これを伝え聞いた村里の人々は、その寛大な様に服したという。

出典・参考・引用
長澤規矩他「和刻本正史後漢書」(二)p630
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古典
出典
劉寛
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語句解説

司徒(しと)
周代の官名。六卿の一つ。教育、民政を司る。後漢以後、隋・唐の三公のひとつ。
叩頭(こうとう)
額が地面につけて敬礼する。頭が地につくほどに深くお辞儀をすること。叩首。
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