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酔古堂剣掃-醒部[48]
原文
山棲是勝事。稍一縈戀。則亦市朝。書畫賞鑒是雅事。稍一貪痴。則亦商賈。詩酒是楽事。少一狥人。則亦地獄。好客是豁達事。一為俗子所撓。則亦苦海。
書き下し文
山棲は是れ勝事なり、稍一たび縈戀すれば、則ち亦た市朝なり。
書画を賞鑑するは是れ雅事なり、稍一たび貪痴すれば、則ち亦た商賈なり。
詩酒は是れ楽事なり、少しく一たび人に徇へば、則ち亦た地獄なり。
客を好むは是れ豁達事なり、一たび俗子の撓す所と為らば、則ち亦た苦海なり。
現代語訳・抄訳
隠棲は勝れた事である。
然れども、少しでも拘泥するところがあれば、人ごみに在ると変わらない。
書画を鑑賞するは風雅な事である。
然れども、少しでも貪り狂うところがあれば、利欲のためと変わらない。
詩酒を嗜むは楽しき事である。
然れども、少しでも求めに応じて行うのであれば、苦悩のところと変わらない。
客を好むは快活なる事である。
然れども、少しでも俗人に乱さるれば、忍耐のところと変わらない。
- 出典・参考・引用
- 塚本哲三編「酔古堂劒掃・菜根譚」23/315,笹川臨風(種郎)校「酔古堂剣掃訳註」19/385
- 関連タグ
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- 古典
語句解説
- 勝事(しょうじ)
- 嘆称すべきこと。勝れたこと。尋常ではない事柄。
- 縈戀(えいれん)
- つきまとうこと。縈はめぐらす意、戀は恋に同じ。
- 市朝(しちょう)
- 市井と朝廷。町中。市中。人が多いところ。
- 賞鑑(しょうかん)
- 鑑賞。作品の価値を見定めて賞賛すること。人物や骨董品などを鑑定してほめること。
- 商賈(しょうこ)
- 商人のこと。
- 豁達(かったつ)
- 闊達。度量が大きく、物事にこだわらないこと。からりとする。
- 苦海(くかい)
- くるしみの世界。
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