1. 陸紹珩 >
  2. 酔古堂剣掃 >
  3. 醒部 >
  4. 38
  5. 39
  6. 40
  7. 41
  8. 42
  9. 43
  10. 44
  11. 45
  12. 46
  13. 47
  14. 48
  15. 49
  16. 50
  17. 51
  18. 52
  19. 53
  20. 54
  21. 55
  22. 56
  23. 57
  24. 58

酔古堂剣掃-醒部[48]

このエントリーをはてなブックマークに追加

原文

山棲是勝事。稍一縈戀。則亦市朝。書畫賞鑒是雅事。稍一貪痴。則亦商賈。詩酒是楽事。少一狥人。則亦地獄。好客是豁達事。一為俗子所撓。則亦苦海。

書き下し文

山棲さんせいは是れ勝事しょうじなり、やや一たび縈戀えいれんすれば、則ち亦た市朝しちょうなり。
書画を賞鑑しょうかんするは是れ雅事がじなり、やや一たび貪痴たんちすれば、則ち亦た商賈しょうこなり。
詩酒ししゅは是れ楽事らくじなり、少しく一たび人にしたがへば、則ち亦た地獄なり。
客を好むは是れ豁達かったつ事なり、一たび俗子ぞくしみだす所と為らば、則ち亦た苦海くかいなり。

現代語訳・抄訳

隠棲は勝れた事である。
然れども、少しでも拘泥するところがあれば、人ごみに在ると変わらない。
書画を鑑賞するは風雅な事である。
然れども、少しでも貪り狂うところがあれば、利欲のためと変わらない。
詩酒ししゅたしなむは楽しき事である。
然れども、少しでも求めに応じて行うのであれば、苦悩のところと変わらない。
客を好むは快活なる事である。
然れども、少しでも俗人に乱さるれば、忍耐のところと変わらない。

出典・参考・引用
塚本哲三編「酔古堂劒掃・菜根譚」23/315,笹川臨風(種郎)校「酔古堂剣掃訳註」19/385
関連タグ
酔古堂剣掃
陸紹珩
古典
<<  前のページ  |   ランダム   |  次のページ  >>

語句解説

勝事(しょうじ)
嘆称すべきこと。勝れたこと。尋常ではない事柄。
縈戀(えいれん)
つきまとうこと。縈はめぐらす意、戀は恋に同じ。
市朝(しちょう)
市井と朝廷。町中。市中。人が多いところ。
賞鑑(しょうかん)
鑑賞。作品の価値を見定めて賞賛すること。人物や骨董品などを鑑定してほめること。
商賈(しょうこ)
商人のこと。
豁達(かったつ)
闊達。度量が大きく、物事にこだわらないこと。からりとする。
苦海(くかい)
くるしみの世界。
<<  前のページ  |   ランダム   |  次のページ  >>


Page Top