酔古堂剣掃-醒部[42]
原文
書畫受俗子品題。三生大劫。鼎彜與市人賞鑒。千古異寃。
書き下し文
書画、
現代語訳・抄訳
書画を俗物に品評されるは、末代までの恥である。
- 出典・参考・引用
- 塚本哲三編「酔古堂劒掃・菜根譚」22/315,笹川臨風(種郎)校「酔古堂剣掃訳註」17/385
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備考・解説
真を知らぬ者が知った顔であれこれと品評することほどつまらぬことはない。
宋の元君が多くの画工を呼び寄せて画を描かせた時、規律正しく所定のままに従う人々のなかで、一人だけ時間に遅れ、描こうともせず、宿では裸になって自由気ままなる画工が居た。
元君はこれを聞いて、これぞ真の画工だ、と述べたという(荘子・田子方)。
書や画というものは自然にして拘泥せざるを旨とするものであり、それとは真逆にいる俗子が書画を論評するは耐えない。
楚の荘王が鼎の軽重を問うた時、王孫満は「徳に在り、鼎に在らず」と答えた(春秋)。
故に物を売り買いするに過ぎない市人が評価するには分不相応である。
語句解説
- 品題(ひんだい)
- 論評。品評。品定め。
- 三生(さんしょう)
- 三世転生。前世、現世、後世。過去、現在、未来。仏教の語。
- 鼎彜(ていい)
- 礼器。鼎(かなえ)は三脚の祭器で、夏の禹が九個の鼎(九鼎)を作って王室の宝とし、後に王位の象徴となった。彝(い)は鶏の血を以て清めた祭器で宗廟に供える。
- 賞鑑(しょうかん)
- 鑑賞。作品の価値を見定めて賞賛すること。人物や骨董品などを鑑定してほめること。
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関連リンク
- 鼎の軽重を問う
- 統治者を軽んじてその地位を覆そうとする野心のあること。転じて、そ…