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酔古堂剣掃-醒部[11]

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原文

結纓整冠之態。勿以施之焦頭爛額之時。縄趨尺歩之規。勿以用之救死扶傷之日。

書き下し文

結纓けつえい整冠せいかんたいは、以て之を焦頭しょうとう爛額らんがくの時に施す勿れ。
縄趨じょうすう尺歩せきほは、以て之を死を救ひしょうたすくるの日に用ふる勿れ。

現代語訳・抄訳

ひもを結び冠を整えるの態度は、これを頭が焦げ、額がただれるの時に施すなかれ。
歩行正しきを守るの規定は、これを死を救い、傷つくを助くるの日に用いるなかれ。

出典・参考・引用
塚本哲三編「酔古堂劒掃・菜根譚」18/315,笹川臨風(種郎)校「酔古堂剣掃訳註」10/385
関連タグ
酔古堂剣掃
陸紹珩
古典
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備考・解説

結纓整冠は子路の故事によるものであろう。
子路は衛が乱れて殺害されたとき、「君子は死するに冠をがず」と述べて纓を結んで死んだという。
注釈では「纓は冠のひもであり、平常事なき時の體容をいう」とあるが採らない。
次の縄趨尺歩は注釈にある如く「歩き方の正しきこと」「平常事なき時の體容」であろう。
縄尺で墨縄とものさしの意があり、即ち規則や法度をいう。
また、趨は小走りに歩く意がある。

上句は死を覚悟して受け入れるのは、死するに足るべきときに行うものであって、頭が焦げ額がただれる程度の時には為すべき行動ではないことをいう。
下句は規則というのは、人の死を救ったり傷つくのを助ける時には用いるべきものではないことをいう。
吉田松陰が「死して不朽の見込みあるならばいつでも死し、生きて大業の見込みあるならばいつでも生くべし」と述べたのに通ずるものであろか。

語句解説

結纓(けつえい)
冠のひもを結ぶこと。死ぬ意に用いる。
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