酔古堂剣掃-法部[94]
原文
昨日之非。不可留。留之則根燼復萌。而塵情終累乎理趣。今日之是。不可執。執之則渣滓未化。而理趣反轉為欲根。
書き下し文
之を留むれば則ち
之を執れば則ち
現代語訳・抄訳
昨日の非はすぐさま取り去らなければならない。
これを取り去らねば、燃え残った根から草木が生え出るように、遂にはくだらぬ心情にまみれて道理を失うであろう。
今日の是とするところに拘泥してはならない。
これに拘泥すれば無心たることを得ず、遂には欲心生ずる根とならん。
- 出典・参考・引用
- 塚本哲三編「酔古堂劒掃・菜根譚」213/315,笹川臨風(種郎)校「酔古堂剣掃訳註」342/385
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備考・解説
非なることを知れば速やかに改め、是を是とする心を生ぜず。
是は固より是なるが故に、是非善悪の境に居らず。
故に王陽明曰く、「無善無悪なるは心の體」と。
至れる人は情無きなれども、多くは情に動いて善悪生ず。
故に曰く、「至れる人は情無く、聖人は情を整え、君子は情を制し、小人は情を欲しいままにす」と。