酔古堂剣掃-法部[93]
原文
紛擾固溺志之場。而枯寂亦槁心之地。故學者當棲心玄默以寧吾眞體。亦當適志恬愉以養吾圓機。
書き下し文
故に学者当に心を
現代語訳・抄訳
騒がしきことは志を散逸させることはもとよりなれども、単に静かなるだけもまた心を枯らすばかりである。
故に道を志す者は心を深く蔵して虚の如く、志の赴くままに楽しみて円通窮まりなきを養うべし。
- 出典・参考・引用
- 塚本哲三編「酔古堂劒掃・菜根譚」213/315,笹川臨風(種郎)校「酔古堂剣掃訳註」342/385
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備考・解説
多言は徳の賊なり。
沈黙は金。
古来より述べられる警句に通ずるか。
枯寂は「もの寂しい様子」で、玄黙は「深遠で計り知れない様」。
どちらも静かなることに変わりはないが、一方は外面だけの静かさであり、もう一方は内なる静かさを有する。
真體は心身に通る一本の芯のようなものか。
語句解説
- 紛擾(ふんじょう)
- みだれる。もめる。みだれてもつれること。
- 枯寂(こせき)
- もの寂しい様。
- 玄黙(げんもく)
- もの静かな様。奥ゆかしくて何も言わぬこと。玄は幽遠で深くかくれた意を持つ。
- 真体(しんたい)
- 実体。真実の姿。
- 恬愉(てんゆ)
- 心が安らかな様。楽しむこと。
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