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孝経[事君]

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原文

君子之事上也。進思盡忠。退思補過。将順其美。匡救其悪。故上下能相親也。詩云。心乎愛矣。遐不謂矣。中心藏之。何日忘之。

書き下し文

君子のかみつかふるや、進んでは忠を尽くさんことを思ひ、退きては過ちを補はんことを思ふ。
其の美を将順しょうじゅんし、其の悪を匡救きょうきゅうす、故に上下能く相ひ親しむなり。
詩に云はく、
愛を心にすれば、とほしと謂はず、中心之をぞうす、いづれの日か之を忘れん、と。

現代語訳・抄訳

君子の主君につかえるや、進んでは忠を尽くさんことを思い、退きては過ちを補わんことを思う。
そのよみすべきところがあれば受けてこれに従い、その改むべきところがあれば未然に補いて増益す、故に上下和して親しまざるはなし。
故に詩経の隰桑しっそう篇にはこのように詠われている。
愛を心にすれば、遠近親疎の隔て無く、中心にぞうして忘ること無し、と。

出典・参考・引用
中江藤樹訳、熊沢蕃山(伯継)述「孝経」69-70/88
関連タグ
孝経
曾子
古典
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備考・解説

熊澤蕃山曰く、
善美ぜんびは君に帰し、過悪は己に帰す、と。
諸臣吏人に不満生ぜず、天下万民その治世を楽しまざる無く、私心あらざる姿なるが故に、過悪もまた之を害す能はず。
君子の天下に親しむや、愛敬の心を以てして、民の父母たるが如し。
民の父母たれば、どうして些事の過悪に及ぼされんや。

語句解説

将順(しょうじゅん)
その通りに従うこと。受けて従う。奨順。
匡救(きょうきゅう)
ただし救うこと。匡は正す意。
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