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論語-学而[3]

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原文

子曰。巧言令色。鮮矣仁。

書き下し文

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子曰く、
巧言令色[1][2][3]すくなし仁、と。[4][5][6][7][8][9][10]

現代語訳・抄訳

孔子が言った。
顔を和らげ言葉巧みにへつらう者は、自ら仁を失っているようなものだ、と。

出典・参考・引用
久保天随著「漢文叢書第1冊」38-39/600,伊藤仁斎(維禎)述、佐藤正範校「論語古義」18/223
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孔子
論語
出典
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備考・解説

孔子、巧言令色を仁に鮮しと為し、剛毅木訥を仁に近しと為し、克己復礼を仁と為す。
表面を飾るは敬ならず、故に礼ならず、己を忘れて外面に馳す者、いづくんぞ己に克つを得んや。

注釈

不明
書経皐陶謨こうようぼの篇に曰く、
何ぞ巧言令色、おほいねじけるを畏れんや、と。
巧は好、令は善なり。
其の言を好くし、其の色を善くし、飾りを外に致し、務めて以て人を悦ばしめ、則ち人、欲をほしいままにして本心の徳亡ぶ。(不明)
朱子
巧言は亦た専ら人を誉むること実に過ぐるを為すのみならず、凡そ辞色じしょくの間、務めて華藻かそうを為して以て人の視聴を悦ばしむるは、皆な是なり。(朱子)
不明
只だ一箇の己が為にし人の為にすることを争ふ、容貌を動かし顔色を正すがごとき、是れ当に此の如くなるくんば、亦た何の害あらん。
但だの様をして務めて以て人を悦ばしむるは、則ち不可なり。(不明)
兒説
仁は心のみ。
己が為にするの心有れば、則ち一言一色、皆な敢へてほしいままにせず。
し諸心を事とせずして、以て言を為し、而して其の言を巧みにし、以て人の我を親しまんことを求め、諸心を事とせずして、以て色を為し、而して其の色を善くし、以て人の我を悦ばんことを求めば、則ち外を務めて内を務めず、人の為にして己が為にせず、此の心外に馳せて天理日にうしなふ、其れ仁有る者はすくなし。(兒説)
燃犀
仁は是れ人心、外面一分の粧點しょうてん多ければ、内面便ち一分の本質を滅す。
故に無しとはずして、すくなしと曰ふ。(燃犀)
許東陽
此の類ひ推して之を言へば、則ち非禮の視聴言動、皆な仁に非ず。
註の中、人欲ほしいままにして心の徳亡ぶ、言色の上に就きて説くと雖も、而もねる所もとより甚だ広きなり。(許東陽)
不明
問ふ、
言辞を修省しゅうしょうするは誠の立つ所以なり、言辞を修飾するは偽の増す所以なり。
発源の処、甚だ同じからず。
夫子の所謂、巧令に仁すくなしとは、推したづねて巧令の病の従来する所を察するに、た是れ為にする所有りて然り。
未だ同じからずして言ひ、言を以て人を䬯とり、肩を脅して諂ひ笑ひ、喜ぶを以て人に随ふ類ひの如き、皆な為にする所有るなり、と。
曰く、
為にする所有るの説、甚だ善し。
聖人の辞は迫切はくせつならず、専らすくなしと言ふは、則ち絶ちて無きことを知る可し、と。(不明)
程子
巧言令色の仁に非ざるを知れば、則ち仁を知る。(程子)
許東陽
巧言令色の仁に非ざるを知る。
只だ此の句に就きて翻転ほんてんして看るときは、則ち言をただし色を正すの仁るを知る。
然も此れ只だ言色の上に就きて論ず、蓋し仁は是れ心の徳、延平先生の所謂、理に当たりて私心無き者なり。
凡そ欲、中に動けば則ち心に私あり、其れ事に接して理に当たらざる者は、皆な仁に非ざるなり。
夫れ飾りを外に致すは、理に当たらざるなり。
以て人を悦ばしむることを務むるは皆な私心なり。(大全)
伊藤仁斎
孔門の教へ、仁を以て学問の宗旨そうしと為し、而して平生の受用、事に於いて此に従はざる莫し。
故に道と言はず、徳と言はず、或ひは仁を以て之に命ず、此の章の如き是なり。
蓋し徳は仁を以て主と為し、仁は誠を以て本と為す。
剛毅木訥は外に質にして内に実なり、故に近しと曰ひ、巧言令色は外に似て内に偽る、故に鮮なしと曰ふ。
其の誠偽を幾微の間に辨ぜること、至厳なり。(論語古義)

語句解説

辞色(じしょく)
言葉や顔色。
華藻(かそう)
文飾。飾ること。藻は水藻の文様のような美しさをいう。
粧点(しょうてん)
めかすこと。かざりつけること。点は紅などを点々とはたいてつける意。
翻転(ほんてん)
反転。ひっくりかえすこと。ひるがえすこと。
李延平(りえんぺい)
李延平。李侗(りとう)。南宋の儒学者。学問を修めて、世の人々は延平先生と称賛。朱子学の祖である朱子が師事したという。
宗旨(そうし)
主旨。中心となる大事な意味。「しゅうし」と読む場合は、その宗教の根本的な考え方の意になる。
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