孝経[應感]
原文
昔者明王。事父孝。故事天明。事母孝。故事地察。長幼順。故上下治。天地明察。神明彰矣。故雖天子。必有尊也。言有父也。必有先也。言有兄也。宗廟致敬。不忘親也。修身謹行。恐辱先也。宗廟致敬。鬼神著矣。孝弟之至。通於神明。光於四海。無所不通。詩云。自西自東。自南自北。無思不服。
書き下し文
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母に
長幼順なり、故に上下治まり、天地に明察なれば、
故に天子と雖も必ず尊ぶ有り、父有るを言ふなり、必ず先んずる有り、兄有るを言ふなり。
宗廟を敬するに致るは、
宗廟を敬するに致らば、鬼神
詩に云ふ、
西よりし東よりし、南よりし北よりし、思ふて服せざる無し、と。
現代語訳・抄訳
古の明王は、その父に
故に天子と雖も尊ぶ所あり、これその父あるをいう。
必ず先んずる所あり、これその兄あるをいう。
宗廟を敬するに至るは、その親しみを忘れぬが故であり、身を修め行を謹むは、先祖を尊びてその名を貶めるを恐れるが故である。
宗廟を敬して誠なれば、先祖
故に詩経の大雅・文王有声篇にはこのように詠われている。
四方皆な来たりてその徳に感ず、心より服せざるは無し、と。
- 出典・参考・引用
- 中江藤樹訳、熊沢蕃山(伯継)述「孝経」61-64/88
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注釈
- 劉證
時 れは民の父母を美みし、君の行を證し、教末に至徳の大を證す。
故に時 の下に於いて、別に歎辞を起す、余章に異なる所以なり。(劉證)- 中江藤樹
- 明察は天地と其の徳を合するを謂ふなり。
聖人の一言一行は、皆な父母に事ふるの孝にして、而して天地に事ふるの明察なり。(中江藤樹) - 黄石斎
- 身は天地鬼神の智能なり。
天地鬼神は天子の身あり、以て其の智能を效 し、而る後、禮楽以て作るあり、位育以て致すあり。
天地鬼神天子に託し以て其の智能を效 す、学慮せずと雖も、而して学慮する所のもの、固 より既に多し。(黄石斎) - 朱鴻集解
- 父母天地、
本 と一理に同じ、上下長幼、原 と二心なし。
故に之に事ふる必ず以て合するあり。
神明即ち天地の神明、彰は即ち化工の彰顕、天地順にして休徴 、地道寧にして咸 な若 くあるが如き是なり。(朱鴻集解)