孝経[廣要道]
原文
教民親愛。莫善於孝。教民禮順。莫善於弟。移風易俗。莫善於樂。安上治民。莫善於禮。禮者敬而已矣。故敬其父。則子悅。敬其兄。則弟悅。敬其君。則臣悅。敬一人。而千萬人悅。所敬者寡。而悅者衆。此之謂要道。
書き下し文
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民に親愛を教ふるは、孝より善きは莫く、民に禮順を教ふるは、
禮とは敬のみ。
故に其の父を敬さば、則ち子悦び、其の兄を敬さば、則ち弟悦び、其の君を敬さば、則ち臣悦ぶ。
一人を敬して、千萬人悦ぶ、敬する所の者は
現代語訳・抄訳
民に親愛を教えるには孝の道より善きはなく、民に礼順を教えるには
礼の本は敬あるのみ。
故にその父を敬うは子の喜びとなり、その兄を敬うは弟の喜びとなり、その君を敬うは臣の喜びとなる。
一人を敬して人々これを嘉す、その敬うところ少なくして悦ぶところの者多き、これを要道という。
- 出典・参考・引用
- 中江藤樹訳、熊沢蕃山(伯継)述「孝経」56-59/88
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備考・解説
孝は
これを尽くすに多きを加えず、一人を敬して万人悦び、以て要道となす。
その所以は詩経に曰く「
子はその親を見て育ち、民はその上を見て則る。
その風俗行儀の至るところ、自ずから然るというべし。
注釈
- 孫本
- 此れ要道の義を釈する一なり。
悌 は孝中の半ば、禮以てこれを節し、楽以てこれを和す。
此れ其の要は孝に外ならざるに帰す。
但し教へを立つるは則ち此の四端にあるのみ。(孫本) - 中江藤樹
- 畢竟、父一人のみを敬ふに綱統す。
故にこれを結ぶに一人を敬するを以てし、而して一本の薀を示す。
妙なるかな、切なるかな。(中江藤樹)
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