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熊沢蕃山

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孝経小解-喪親[4]

宗は尊なり、廟は貌なり、父母、先祖の尊貌そんぼういます所なり。
尊貌は神主しんしゅなり。
中江氏云はく、
王制祭法を案ずるに、官師以上皆な廟を立つ、庶士庶人は廟無し。
寝に祭る、此れ宗廟を挙げて、以て寝に祭る者を包なり、と。
みな神主あればなり。
鬼を以て之をきょうすとは、鬼事きじつかふる禮を以て、是を享祀きょうしするなり。
きょうは人鬼を祭る名なりといへり、是より専ら吉禮に変ずるなり。

吉礼きつれいは天地の神道に合す、故に四時を以て祭祀す。
物の始めは事、易簡いかんなり。
上古は春秋に祭れり、春は陽の始め、秋は陰の始めなればなり。
祭義さいぎに云はく、春、雨露うろ既にうるおへり、君子之を履みて必ず怵惕じゅつてきの心有り、将に之を見んとするが如し、秋、霜露そうろ既に降りて、君子之を履みて必ず凄愴の心有り、其のかんの謂ひに非ざるなり、といへり。
春は、かすみ立ち鳥鳴き花咲くによりて、時のうつりかはりたるに感ず。
秋は、草木黄ばみ、蟲鳴き、風、身にしむに感じて父母先祖を思って、むこと能はざる故に、にわかかに斉戒さいかいして父母より四代を祭るなり。
いにしへは一夜神事と見えたり、今も一夜神事に遺法あり。
後世三日斉戒さいかいし、夏冬を加へて、四時に祭れり。
今もはじめて祭りをせんとおもふ人は、まづ春秋に祭り、年を経て、夏冬を加へて可なり。
神をまつる事は、しばしばする事をいめり。
不敬に至らん事を恐れてなり。

出典・参考・引用
中江藤樹訳、熊沢蕃山(伯継)述「孝経」76-77/88
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語句解説

享祀(きょうし)
供え物をして神を祭ること。享祭。
怵惕(じゅつてき)
おそれ気遣うこと。
斉戒(さいかい)
ものいみして心身を清めること。
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