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熊沢蕃山

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孝経小解-喪親[1]

父母、没して、憂ひに居るを喪といふ。

哀痛あいつうの極、声に発するを哭といふ。
は、声、従容として余りあり、父母の喪は、哀痛の極なれば、其の哭、気竭きて、息、余声なしといへり。
幼少の子の泣くがごとし。
声を引いて、ながく泣くは、つよく、かなしからぬなり。
つよく泣くときは声絶へて、なき入り、しばらくありて声発す。

喪の禮の進退、かづかづ其の事を行ひ、容貌の、うやうやしきていなきなり。
平生は、うやうやしきを禮とすれども、時、異なり。

いふべき事あれば、ようやく其の事をいひて、うるはしき言葉なし。
平生と異なり。

平生、無事の時、たのしめる事も、なぐさめるものも、心に憂ひあれば其の用なし。
鳥にも心をおどろかし、花にも、なみだを、そそぐといへり。
美服を衣ず、楽を聞かず、酒肉、五辛ごしんをいめる事、欲せざるのみならず、主意あり、或問に見えたり。

孝子の親を喪するより、六つのものは、孝子、哀戚あいせきの真情なり。

出典・参考・引用
中江藤樹訳、熊沢蕃山(伯継)述「孝経」70-71/88
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