1. 熊沢蕃山 >
  2. 孝経小解 >
  3. 閨門 >
  4. 1

熊沢蕃山

このエントリーをはてなブックマークに追加

孝経小解-閨門[1]

閨門けいもんは小門なり、一家の小門の内と雖も、一国の礼備はれり。
厳父は君につかふるの道、厳兄げんけいは長に事ふるの礼なり。
妻子は百官のごとく、臣妾しんしょう徒役とえきのごとし。
慈は衆を使ふ所なり、慈は恵み厚うして愛に流れず、おとなしき心なり、父の道なれば、民の父母たる徳なり。
妻子は家内の貴きものなれば、百官のごとし、臣妾しんしょうは家内のいやしきものなれば、徒役とえきのごとし。
此の百姓は百官なり、徒役は庶人の官に在る者なり。
士も中士ちゅうし以上には、家内の人、品々あり、下人げにん段々すうあり、女にも上中下品々しなじなあり、男女の召使をなべて臣妾といへり。
妻子は恩にれ、愛を恃みて、奢り易し、主人、慈厚うして礼儀正しき時は、和して奢らず。
臣妾は遠ければ、おろそかにて恨み易し、主人、恵み細かにして、其の所を得せしむれば、中心悦んで服従す。
是れ則ち、妻子をととのふるは百官をおさむるの道、臣妾を御するは徒役を使ふ道なり。

出典・参考・引用
中江藤樹訳、熊沢蕃山(伯継)述「孝経」65-66/88
関連タグ
孝経小解
熊沢蕃山
古典
<<  前のページ  |   ランダム   |  次のページ  >>

語句解説

閨門(けいもん)
内室の門。寝室の出入り口。宮中の小門。
臣妾(しんしょう)
召使い。人に服従する者。
徒役(とえき)
使用人。人夫として使われる者。労役に服する者。
<<  前のページ  |   ランダム   |  次のページ  >>


Page Top