熊沢蕃山
孝経小解-廣要道[1]
本心の愛敬、初めて父母にひらけ、五倫、皆な孝なる事を教ふるなり。
心の霊妙、至誠より
なほ禮楽の教へありてこれを、鼓しこれを
大父母の天地より見るときは、年、長ぜる人は皆な兄なり。
故に年は、天下の
夫れ学は、君、父師たる事を学ぶに非ず、臣、子弟たる事をまなぶなり。
よく、臣、子弟となりて後、よく、君、父師となるものなり。
移すは遷して其の善に就くをいふ、易は其の悪を変じ去るをいふ。
夫れ人心は活物なり。
生きとしいけるもの、楽しみをしらずといふことなし。
善にたのしまざれば悪にたのしむ。
天下に道二つ、仁と不仁のみといへり。
故に聖人、
貴賤ともに知らず識らず善にうつりて、悪をわする、世の中の風俗をうつしかふること、
家業をつとめ、禮楽、弓馬の芸に遊ぶ事、たがひにす。
農業、時に先立って用意し、おこたらずと雖も、せはせはしからず、又た
- 出典・参考・引用
- 中江藤樹訳、熊沢蕃山(伯継)述「孝経」57-58/88
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語句解説
- 雅楽(ががく)
- 朝廷の正しい音楽。俗な音楽に対する伝統的な音楽のこと。
- 五帝(ごてい)
- 太古の五人の帝王のこと。小昊(しょうこう)、顓頊(せんぎょく)、帝嚳(ていこく)、唐尭(とうぎょう)、虞舜(ぐしゅん)が有名。ただし、五帝としては他にも諸説がある。
- 三王(さんのう)
- 中国古代の三人の聖王のことで、夏の禹王・殷の湯王・周の武王(または文王)を指す。
- 耕耘(こううん)
- 農作。耕し草をとること。
- 採薪(さいしん)
- 薪ひろい。
- 琴瑟(きんひつ)
- 琴(五弦または七弦)と大型の琴(二十五弦)。また、音が調和すること。夫婦仲が睦まじいこと。
- 六芸(りくげい)
- 六芸。六芸は礼・楽・射・御・書・数で周代には士君子の基本的教養とされた。
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