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熊沢蕃山

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孝経小解-五刑[1]

五刑は、ぼくきゅう大辟たいへきなり。
墨は、額に字をりて、墨を以てくりにす。
は、鼻を割り、は、足の筋を絶ち、かんは、淫刑なり。
男子はせいをきり、女子は外に出づる事ならざるようにす。
あがり者などの内所うちところに、つかはるるがごとし。
大辟は死罪なり。
墨罰の属、千、劓罪きざいの属、千、剕罰ひばつの属、五百、宦罰かんばつの属、三百、大辟の罰の属、二百といへり。
かくのごとく数多きものは罪をかろきに出ださんがためなり。
淫乱、不作法の者、男女ともに死罪たるえきをもなだめて、宦刑に罰する者あり。
男は勢を絶ちて、閨門けいもんの番などにつかふなり。
女は外へ出ださず、内所うちところのつかひ者とするなり。
盗の罪も強盗は死罪多く、弱盗は入墨にゅうぼくして、米つき水くむやうの事につかふなり。
其の外、死罪をなだめて、鼻をきり、足の筋を絶つ者あり、遠く行くことあたはざれば、門番などにつかふなり。
悪人の大剛なる者を深山みやまの麓に置いて、魍魎もうりょうをふせがしむるもあり。
功すくなきを賞する過はあれども、かろきを罰する過なきは、仁者の政なり。
三千の罪の中にて、不孝を重しとす。
仁者もゆるす事あたはず、不孝は、愛敬の本心を失ひたる者なれば、虎狼心にして、人にあらざるがゆえなり。

出典・参考・引用
中江藤樹訳、熊沢蕃山(伯継)述「孝経」54-55/88
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語句解説

大辟(たいへき)
五刑の一。死刑。死罪。大きな刑罰。
閨門(けいもん)
内室の門。寝室の出入り口。宮中の小門。
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